紅の魔女 | ナノ




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「ロビンちゃん…何すんだ!!?」


「口で言ってもわからないでしょ…?」


何てことないかのように放たれたその言葉に、サンジらは驚き、その姿を見てロブ・ルッチは笑う

開け放たれたままの扉から、中の様子は座っていてもよく見える

その様子を見ていたらウソップとバッチリと目が合い、僅かに目を見開く

仮面のせいで表情は分からないが何かを躊躇しているのが分かり、小さく首を傾げるがすぐにその理由を思い当った


『…私なら大丈夫。行って』


ルッチらには聞こえないよう、声には出さずに口の動きだけでそれを伝え、アリスは柔らかく笑みを浮かべる

今の状態で自分まで助けようとするのはハッキリ言って自殺行為以外の何物でもない

口の動きでアリスの言葉が分かったのか、ウソップは煙幕を使って隙を作り、その僅かな時間でロビンを抱きかかえることに成功する

そのまま第三車両へと逃げていき、すぐに第二車両との連結を解かれて徐々に距離が開いていく

逃げるという選択肢を迷わず選んだのは正解だ

ハッキリ言って彼ら3人ではあの4人には勝てない

先程アリスは行けと言ったが、その内2人はすぐにここへ戻ってくることは想像できた

視界の先ではカリファのムチによって車両は繋がれ、ブルーノによって開きかけた車両間の距離は再びゼロに戻っている


『……もうすぐエニエス・ロビーか…』


フランキーが自分自身を犠牲にして第三車両を無理やり切り離したところまで見て、アリスは視線を窓の外へと移す

ブルーノという大男は"ドアドアの実"の能力者なのだ。どれだけ距離がひらこうがそれは意味がない

"行って"という意味は、ロビンだけ連れて逃げろという意味ではなくサンジとウソップが後ろから追ってきているらしいルフィと合流するための"行って"なのだ


『――おかえり、2人とも』


しばらくすればアリスの予想通り、フランキーとロビンが拘束された状態でこの先頭車両に連れられてきた


「くそっ離しやがれ!!」


「……」


フランキーは暴れ、ロビンは無言でまた座席に腰掛ける


「……お主は逃げないのか?」


2人をここに連れてきたカクが、興味を持ったようにアリスに話しかけてくる


『………私が?』


座ったまま、海楼石のせいで身動きが満足に取れない状態でアリスは余裕ある笑みを浮かべた


『だって必要ないもの』


意味が分からない、といった表情を浮かべているカクやロビン、フランキーから視線をそらし、また海へと戻す

無理をしてここから逃げ出す必要などないのだ

―――だって、ルフィたちがもうすぐ助けにきてくれるんだから…

彼らが必ず助けに来てくれると、微塵も疑ってないから今もこうして余裕を持って座ってられるのだ


『……見えたわね』


カクが出ていき、3人だけとなった室内でアリスは呟く

視界の先には、不夜島という異名をとるエニエス・ロビーが見えてきた

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