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「どうしてそんな事に…!?私はあなた達にはっきりと別れを言った筈よ!?私はもう二度と一味には戻らない!!」
『ロビン…』
必死に冷酷な女の仮面を被ろうとしているが、残念ながら失敗に終わっている
大方の事情はアイスバーグから聞いているらしく、ウソップはロビンの言葉に動揺することなく連れだそうとする
だが"バスターコール"という鍵をCP9に握られているロビンがそれに首を縦に振ることもない
堂々巡りになりそうなその話の流れに、ウソップはイライラしたのか大きな声を出した
「まだわからねェのか!?お前が心配する程あいつらヤワじゃねェんだ!!あんなくだらねェかけ引きに乗る前に、本当は一番に話してほしかったんだ!!」
仲間だから、ちゃんと相談されたかった
「仲間の犠牲の上に生かされてあいつらが喜ぶと思ってんのか!?お前が一味を抜けた理由を知ったあいつらは、地獄の底でも追いかけてお前の敵をぶちのめすぞ!お前はまだルフィって男をわかってねェんだ!!」
「……!わかってないのはあなた達の方よ!!」
その言葉に動揺しながらも、ロビンは負けじと声を張り上げる
「私は助けて欲しいなんて欠片も思ってない!!勝手な真似をしないで!アリスだけを連れて、早くここから出ていって!!」
『……』
自分のことを気にかけてくれるのは嬉しいが…それこそウソップの言葉通りだ
『…私も、"仲間"の犠牲の上に成り立つ自由なんて必要ないわよ、ロビン』
「アリス!!」
『もうそろそろ…あの"悪夢"から醒めてもいいと思うわよ、私は』
"悪夢"という言葉が何を指しているか分からないウソップだったが、その言葉が今ロビンを頑なにさせている大きな原因だということだけは分かる
アリスとロビンしか知らない"悪夢"――それが何を指しているのかと、ウソップが口を開きかけた時
――ドンドンッ
「何を騒いでいる、ニコ・ロビンとアリス」
さすがに大声を出し過ぎたのか、後ろの車両から怪しむ声が聞こえてきた
それを受け、咄嗟にロビンはウソップの腕を引き自信が羽織っていたロープの中に引き入れた
アリスは何事もなかったかのように座席に座るだけでいい
ウソップが隠れたの同時に、車両を繋ぐ扉が開かれた
「……どうした、今さら貴様らの運命に泣き喚いても命が救われるわけでもないというのに…」
入ってきたのは世界政府の役人であるコーギー
厭味ったらしい笑みを浮かべながらこちらに近づいてきたが――
「何でもないわ…」
「…!?」
「何でもないから2人きりにしてちょうだい」
「…!、!?」
雰囲気の違いすぎるロビンを見て、驚きを隠せずにコーギーは彼女を凝視している
……まぁ知的なオーラただようロビンが両手を激しく振ったりするなんて考えられないだろう。その気持ちはよく共感できると、必死に無表情を作りながらアリスは内心大きく頷いた
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