紅の魔女 | ナノ




71



――コンコン


沈黙が続いた室内に、その音は突然聞こえてきた


――コンコンコン!


1回目よりも大きく聞こえたそれは、確かに窓から聞こえてきて――何気なく振り返ったロビンは、そこにいた人影に驚きの声をあげる


「え…長鼻くんっ!?」


『…ウソップ?』


窓の外にへばりついていたのは、変な仮面をつけてはいるも…その特徴的な長い鼻から、ウソップであることは容易に判断できた


『…取りあえず、中に入れてあげましょうよ』


驚きのあまり固まってしまっているロビンに進言すると、それで我にかえったのか窓の鍵を外し、彼が中に入ってくる様子をただただ呆然と見た


「どういう事!?なぜあなたがここに!?どうやって乗り込んだの!?」


矢継ぎ早に質問するロビンに、変な仮面をつけたまま、ウソップは変な口調で喋り出した


「初めまして、私は狙撃の王様"そげキング"だ!色々話すと長くなるが、君たちを助けに来た!!」


『そげキング…?ウソップでしょ?』


「彼は急用があるということで私が代わりに来たのだ。それに私だけではない。この列車内で今サンジ君とフランキーというチンピラが暴れてる。私はそのスキをついてここへ来た」


あくまで"そげキング"とウソップは別人物で通すつもりらしい

どこからどうみても、その鼻やら服装はウソップだと分かるのに……まぁ本人がそうしたいのなら何もいうまい


「さらにルフィ君達ももう一隻の海列車でこの線路を追いかけてきてる。何やら大人数を引き連れてね」


海列車はこの世界に1台しかないと思っていたが……

それでもこの荒れに荒れた海の中、エニエス・ロビーに向かって飛び出してきたのだから大したものだ


「窓の外から――この車両に来る時覗いたんだが…後ろの車両にいる4人組みは正直ヤバい。サンジ君達がぶつかる前に君らを救出できればそれに越した事はないのだ!さァ逃げよう、私と共に!!」


たこの吸盤に似た道具を差し出すそげキング…もといウソップだが、それを素直に受け取る2人ではない


『せっかくだけど…私はこの海楼石のせいで身動きがとれないのよ。正直喋るのがやっと。私はここに残るから、ロビンだけでも連れて行ってあげて?』


「しかしそれでは君が…」


『私はいざとなれば何とでもなるから、彼女を先に――』


「……待って!!」


ウソップとアリスの会話を、ロビンは急に声を荒げて止めた

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