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『――何年ぶりかしらね、こうやって話すのは』
だいぶ海楼石に体が慣れたのか、普通に話す程度なら支障はなくなった
この分ならエニエス・ロビーに着く頃には歩けるかもしれない
「…20年よ。あの日から、20年が経った…」
『――"オハラ"が滅ぼされたあの日から、もう20年か…』
時は経つのが早い
「…あなた、今30歳よね?なんでそんなに外見が…」
『あぁ、私"ワカワカの実"を食べてずっと20歳の姿になってしまったの。能力等は変わらないけど…取りあえず、死ぬまで私はこの姿よ…"今は"ね』
「今は…?」
『えぇ。私はいつか必ず"ワカワカの実"の能力者から抜け出してみせる……』
その為に必要不可欠なモノを探すために、私はシャンクスの船から降りたのだ
世界は広いが――探せばあると信じている
『それよりも…あなたならCP9相手でも逃げることぐらいできたでしょう?何故大人しくここに座っているの?』
ずっと分からなかったことを聞いてみると、ロビンは表情を険しいものへと変え、その理由を告げた
「……バスターコールが…」
『え?』
「バスターコールが、その権限が今回CP9たちは麦わらの一味に対して発動する権限を1回だけ持っていたの…」
『……それで…』
全てが1本の線で繋がり、納得したとばかりにアリスはため息をつく
ロビンにとって、"バスターコール"という言葉は悪夢以外の何物でもない
それが大事な仲間にかけられそうになったと知れば――もう、政府に従うしかないだろう
『私、この町で彼らに会ったばかりだけど……きっと、ルフィたちはロビンを追ってくるんじゃないかしら?』
「な…!そんなわけないわ!私は彼らをハッキリと拒絶して…」
『ふふ…それぐらいで大人しく引く人たちじゃないって、ロビンなら薄々気づいてるんじゃない?』
海列車は出発し、一見追いつく手段は断たれたかのように見えるが……それでも彼らは何らかの方法を見つけて自分達を追ってくる
だから、自分はここで大人しく座っているのだ
いざとなればこんな手錠、粉々に壊して逃げることだって可能だ。それなのに大人しくここにいる理由――それは必ず助けに来てくれると信じているからに他ならない
「……」
『離れてからどんな生活を送ってきたかは何となく想像はつくけど……彼らは、信じてもいい人たちよ』
その言葉に、ロビンは何も言わなかった
だけど俯く前に見た顔は、少しだけ泣きだきそうに歪んでいた
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