紅の魔女 | ナノ




69




『…う……っ?』


アリスが意識を取り戻した時、視界に入ったのは炎でもなく煙でもなく……


「…目を覚ました?」


『……ロ、ビン…?』


座席に座っている、ロビンだった


『……ここは…』


「海列車よ。今からこの列車はエニエス・ロビーに向かうわ」


落ちついた様子でアリスの疑問に答えていくロビン


「CP9の1人に抱えられて、あなたはここに連れてこられたのよ」


ゆっくりと、横になっていた体を何とか背もたれに預けて呼吸を整える

手には当然海楼石の手錠が付けられており、少しの動作でも呼吸が乱れてしまう


『エニエス・ロビー……』


「……あなたはもう"麦わらの一味"だと言ったけれど、それが認められることはなかった。残念だけど助けてあげることはできない」


いくらロビンには海楼石の拘束がないとはいえ、CP9が4人もいるこの列車からアリスを助けることはできないだろう

賞金首である自分達がエニエス・ロビーに行っても――そこに待つのは"地獄"だ

それを分かっていながら、何故無抵抗でロビンはこの場にいるのだろうか…


『……ねぇ、あなたの"願い"、って何…?』


「………私を除く、麦わらの一味が全員無事にこの島を出ること」


沈黙の後、もう行っても構わないと思ったのかその"願い"を口にした

今のロビンにとって、その願いが全てであり、これ以上に大事なものはない


『…そう…』


汽笛が鳴り響き、海列車がもう出発することを悟る

ゆっくりと、列車は"地獄"へと向かって進み始める


『……出発ね』


「…」


逃げ出すことができない2人は、静かに船出を迎えた

.

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