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『…う……っ?』
アリスが意識を取り戻した時、視界に入ったのは炎でもなく煙でもなく……
「…目を覚ました?」
『……ロ、ビン…?』
座席に座っている、ロビンだった
『……ここは…』
「海列車よ。今からこの列車はエニエス・ロビーに向かうわ」
落ちついた様子でアリスの疑問に答えていくロビン
「CP9の1人に抱えられて、あなたはここに連れてこられたのよ」
ゆっくりと、横になっていた体を何とか背もたれに預けて呼吸を整える
手には当然海楼石の手錠が付けられており、少しの動作でも呼吸が乱れてしまう
『エニエス・ロビー……』
「……あなたはもう"麦わらの一味"だと言ったけれど、それが認められることはなかった。残念だけど助けてあげることはできない」
いくらロビンには海楼石の拘束がないとはいえ、CP9が4人もいるこの列車からアリスを助けることはできないだろう
賞金首である自分達がエニエス・ロビーに行っても――そこに待つのは"地獄"だ
それを分かっていながら、何故無抵抗でロビンはこの場にいるのだろうか…
『……ねぇ、あなたの"願い"、って何…?』
「………私を除く、麦わらの一味が全員無事にこの島を出ること」
沈黙の後、もう行っても構わないと思ったのかその"願い"を口にした
今のロビンにとって、その願いが全てであり、これ以上に大事なものはない
『…そう…』
汽笛が鳴り響き、海列車がもう出発することを悟る
ゆっくりと、列車は"地獄"へと向かって進み始める
『……出発ね』
「…」
逃げ出すことができない2人は、静かに船出を迎えた
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