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「"自然系"、"動物系"、"超人系"――特異な能力は数あれど…自らの身体能力が純粋に強化されるのは"動物系"の特性…鍛えれば鍛える程に"力"は増幅する」
迫撃においては"動物系"の右に出るものはないと自信を滲ませるルッチ
その巨大な体で"嵐脚"を放てば、壁を切り裂いて容易く建物は崩れ落ちていく
「壁から離れろ!チョッパー、ナミ!!」
ゾロのその言葉に後方にいた2人は慌てて崩れ落ちてくる瓦礫から逃げようとするも……ナミの頭上に避けきれない瓦礫が落ちようとしていた
それをチョッパーが体当たりでナミを突き飛ばしたおかげで事なきことを得るが……変わりにチョッパーが瓦礫の山に埋もれてしまう
重傷を負っているパウリーは体に鞭打ってアイスバーグをこの部屋から連れ出そうとするも、容易くそれを見逃すようなCP9ではない
「おやめなさい、パウリー」
カリファの言葉には憐れみの感情すら浮かんでいた
ずっと仲間と思ってきたとパウリーが叫んでも、返ってきたのは鋭く光る鋭利な爪
「ハトのやつ――――!!」
アイスバーグを抱え、身動きがとれないパウリーを助けたのはルフィだ
思いっきりルッチの頬を殴るが――それは大したダメージを与えることはできなかった
人獣型となったルッチの指銃は、ゴム人間であるルフィの体を容易く貫く
『ルフィ……っ』
そのまま投げられ、室外に勢いよく飛んでいったルフィの名前を弱々しく呟く
ルッチに斬りかかったゾロだったが、それは鉄塊によって防がれ、同じようにゾロもまた飛ばされる
あっという間に麦わらの一味の主力をこの場から強制的に排除してみせたCP9
その強さは噂以上と言えるだろう
「さてと」
「…!」
ルッチの瞳がナミを捕える
逃げて、と声に出したかったのに、それは音となることはなかった
犯人を印象づけるためなのか、ルフィたちみたいに島の外まで飛ばされる勢いではなく下に突き落とされる
アイスバーグとパウリーは口封じのため燃え盛る炎の中縛られて放置される
「海賊の発言は証拠にならん…これで事件は闇の中…」
煙を多量に吸いこんでしまい、カクに抱えられたままアリスの意識は急速に遠のいていく
ルッチの声が、段々遠く…遠くなっていく
「アイスバーグさん…あなたがどれ程優れた造船技師であれ、大都市の市長であれ……一市民が巨大な政府に盾つくもんじゃない…!」
燃え盛るガレーラカンパニー本社
「――"魔女"も捕獲した。あとはもう一人のトムの弟子フランキーの――いや"カティ・フラム"の持つ、設計図を奪いに!!」
その言葉を辛うじて聞き終わった後…アリスの意識はゆっくりと沈んでいった
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