紅の魔女 | ナノ




63



「色々な証拠を消すのに炎は有効な手段だ。君達も焼け死にたくなければ速やかに屋敷を出る事だ。まァもちろん……それができればの話だが」


ルッチとロビンの前に、3人のCP9が立ちふさがる

そう簡単に逃がしてはくれないだろう


「――どうやら俺達を消す気らしいな。ニコ・ロビンも向こうにいたい様だが…ルフィ、お前ロビンの下船にゃ納得できたのか?」


「できるかァ!!」


冗談じゃないとばかりにルフィが叫ぶ

アリスとしてもまだロビンと話したいことは山のようにある――このまま何もしないで逃がす気はない


「1階のいくつかの部屋から直に火の手が上がる…まァ犯人は海賊なんだ、そんな事もあるだろう」


勝手に他人になりすまして好き勝手やられてはたまったものではない


「――じゃ私は先に行くわ」


ロビンが一人この場から立ち去ろうとするのを見て、ルフィは止まるよう言うも聞き届くことはない


『……ロビン…』


――貴女は、何に怯えているの?


「またどこへ行くんだよ!やっと見つけたのに!!」


追いかけようとするルフィの前にブルーノが立ちふさがる

ルフィの蹴りを真正面から受け止めたのは"鉄塊"――鍛え上げられた肉体は"鉄の甲殻"にまで硬度を高められる

受けるばかりではないと"紙絵"でヒラヒラと攻撃を避け、"剃"で消えたと錯覚させるスピードで移動し、脅威の脚力を利用して"月歩"で宙を浮く

鎌風を起こす程の速度があれば、蹴りで壁だって斬れる――これが、"嵐脚"

散々にやられ、壁に吹き飛ばされたルフィは立ちあがり、ロビンをなおも呼びとめようとする


「行くなロビン!!まだ話は終わってねェ!!」


「……いいえ、終わりよ。もう二度と会う事はない」


『…ロビン』


ここで逃がしては本当に会えなくなる

そう判断し、ようやく彼女は動き出す

駆けだし、ロビンの元へと向かう

当然カリファらが妨害してくるが、全て鞘に入ったままの"紅"で容易く受け流す

僅かに目を見開く彼らに視線を向けることなく、アリスは今にも窓から飛び降りようとしたロビンの腕を掴んだ


「…!」


『ロビン――あなたは何に、』


怯えているの?

小さく囁かれた言葉に、ロビンは一瞬作られた表情を崩した

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