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「……"紅の魔女"か」
その殺気に僅かに目を細め、口を開いたのはルッチだった
「初めてこの町でお前の姿を見た時は驚いた。"赤髪"の船に乗っているとばかり思っていたが…こんな一海賊団に身を寄せているとはな」
『……CP…9、かしら?噂には聞いていたけどまさか本当に存在しているとはね…』
興味なさげに、だけど一瞬の隙も見せることなくアリスは言葉を発する
『だけど今私が話しているのはニコ・ロビンであってあなたではないわ。下がっていてくれるかしら』
「……」
「落ちつけルッチ。"魔女"はどんなことがあろうと生け捕りにせねばならんだろう」
黙りこんだルッチを落ち着かせるようにカクが喋る
"紅の魔女"アリスは、いかなる状態であろうと必ず"生け捕り"にしなければならない――これは政府が定めた決定事項だ
「………私には、何も話すことはないわ」
逸らしていた視線を、真っ直ぐアリスに会わせてロビンはハッキリと言い放った
交わった視線を、2人は逸らすことなく見つめ合う
お互いの瞳に映った感情を読み取ろうとするかのように―――……だがそれを破ったのは床に転がるアイスバーグだった
「正気の沙汰じゃねェ……その女は…!気は確かかニコ・ロビン!お前は自分が何をやろうとしているのか分かっているのか!!」
「あなたにはもう…何も言う権利はないはずよ」
無理やり能力を使って黙らせ、誰にも邪魔させない、と言葉を発する
その容赦ない行動に、ルフィらは本当に敵になってしまったのかと叫ぶも――返事は返ってこない
「悪いがそこまでにして貰おう…我々はこれから"重要人物"を探さなきゃならなくて急いでいる。この屋敷にももう用はないし……君らにも"魔女"を除けばもう完全に用はない」
暗に自分を捕える気でいると言われ、アリスの顔から完全に笑みが抜け落ちた
その顔を横目で見て、ナミの背筋に冷たい何かがはしる
そこにいるのはいつも優しく笑っていた彼女はいない
齢30歳(外見年齢20歳)で2億2千万の賞金をかけられた、"紅の魔女"と呼ばれる"アリス"だ
「カリファ、あとどれくらいだ」
「……2分よ」
唐突の問いかけにもカリファは淡々とその時間を述べる
「突然だが、あと2分でこの屋敷は炎に包まれる事になっている」
告げられたその事実に皆驚く
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