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「何でお前らが……!!」
重傷を負いながらも、パウリーは立ちあがろうとする
その姿を見たルッチは躊躇うことなく、その命を刈りとろうと手を伸ばす
「まァいい。どの道消す命…悲しいが友よ…」
"友"の体を貫こうとした手を止めたのは、ルフィだった
"ゴムゴムの銃乱打"をその身で受け止めたルッチの体はダメージを負っている様子はない
「……うっとうしい」
"剃"で姿を消し、"指銃"でルフィの首を狙ったルッチ
ルフィがゴム人間でなかったら即死だっただろう…
だが腕を伸ばし、パウリーをルッチの傍から離すことには成功したルフィ
「何をしている、麦わら」
「お前こいつ殺す気だろ!!一緒に船大工やってたんじゃねェのかよ!!」
「さっきまでな。でももう違う」
「本当に裏切り者か!!じゃいいよ、とにかく俺はこいつと一緒に!アイスのおっさんを殺そうとしている奴等をブチのめそうと約束したんだ!!」
ルフィらしい言葉だ。だが何も用事はそれだけではない
「おいロビン!何でお前がこんな奴らと一緒にいるんだ!!出て行きたきゃちゃんと理由を言え!!」
「そうよ!!こいつら政府の人間だって言うじゃない!どうして!?」
ルフィとナミの言葉にも、ロビンの表情は動かない
「…聞き分けが悪いのね。コックさんと船医さんにお別れは言った筈よ…伝えてくれなかったの?」
「…!伝えたよ!だけど俺だって納得いかねェ!何でだ!?ロビン!!」
「――私の願いを叶える為よ!!あなた達と一緒にいても、決して叶わない願いを!!…それを成し遂げる為ならば、私はどんな犠牲も厭わない!!」
その"願い"がどんなものかは分からない
だけど、それが彼女にとってどれほど大切な"願い"なのかは、その決意に満ちた表情を見ればすぐに分かる
『………それは、彼ら仲間を犠牲にしても叶えたいものなのかしら?ロビン』
この部屋に入って、初めてアリスはハッキリと言葉を発した
20年ぶりの再会だというのに、2人の間に流れる空気は決して友好的ではない
それは、アリスから発せられる微量の、しかし濃い殺気のせいかもしれない
『久しぶりね、ニコ・ロビン』
ニコリと、笑う彼女は、何故かとてつもなく恐ろしいものだった
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