紅の魔女 | ナノ




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「きっと今頃飛ぶか走るかで"真正面"から乗り込んで屋敷に入ったはいいものの、どこへ行っていいか分からず船大工達に追いかけ回されてる頃だと思わない?」


「あァ…思う」


「思う思う」


『すっごく思う』


でしょ?とナミは言葉を続ける


「船大工達から見ればルフィは犯行一味の"主犯"だもの。"メインイベント"が飛び込めばみんなそっちに意識がいくに決まってる」


『成程…ならルフィが飛び込んでいった屋敷正面はもう今ガードは手薄になってる、ってことね?』


「えぇ。私達はその隙を突っきって大騒ぎの船大工の群れに混ざっちゃえるのよ!!」


確かにナイスアイデアだ

ゾロとチョッパーも納得し、ナミのその案に賛成する

飛び越えられそうな塀を4人で仲良く飛び越え、手薄であろう屋敷の正面に降り立った、が


『……え』


ルフィが突入して大混乱に陥って手薄になっているはずの正面には、大量の船大工達が待ち構えていた

どこが手薄だ―――!!と心の叫びが綺麗に4人ハモったのはある意味当然だろう

そして当然、船大工達と目が合い――結果、追いかけっこが始まった


「ロロノア・ゾロだァ!」


「"魔女"アリスもいるぞォ!!」


「あの女も昼間見たぞ!」


追いかけてくる船大工たちを振り返る余裕はない

手に得物を持ち、銃を発砲する音も聞こえてくる彼らを振り返って見ても百害あって一利なしだ

何故ルフィがこの場にいないのか――恐らく、恐らくだが勢い余ってどこか変なところにハマってしまったのだろう…

しばらく走って逃げていたが、どこへ逃げてもどこに走っても、大量にいる船大工がいなくなる場所はない


「くっそォ…!もうこうなっちまっちゃどの道俺達ァ"現行犯"みてェなもんだ……!」


逃げるのをやめ、刀を抜いて迎撃体勢を整えたゾロ

確かにこのまま逃げ続けてもラチはあかない。この邪魔な船大工たちを片付け、ゆっくりと探したほうがいいだろう

ゾロのその考えに賛同し、アリスもまた鞘をつけたままの"紅"を構える

船大工たちは邪魔ではあるが"敵"ではない。無駄に傷つける必要はないだろう……


「道をあけろォ!!」


「「ぎゃああああ!」」


峰打ちだ、と言っておきながら思いっきり致命傷与えているゾロには、何も言うまい

殺さないよう、最大限に手加減をしながらアリスもまた、刀(鞘つき)を振るった

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