紅の魔女 | ナノ




53



「ふぅ…落ちついたか…」


「落ちついたかって…!!あんたがあんな大勢の船大工に追われてたから、私達まで巻き込まれたんでしょ!?」


「仕方ねェだろ。あんな数の人間相手に見つからねェ方がおかしいぞ」


ナミとゾロが言いあいをしている隣で、ルフィはチョッパーに一緒に行動しているはずのサンジ不在の理由を聞いていた

そのチョッパーが、言いにくそうに説明したのは―――俄かには、信じたくない言葉だった










――私はもう、あなた達の所へは戻らないわ…ここでお別れよ。この町で…

あなた達には謂れのない罪を被せて悪かったわ。だけど私にとっては偽りのない記事よ。昨夜市長の屋敷に侵入したのは確かに私

私には貴方達の知らない"闇"がある。"闇"はいつかあなた達を滅ぼすわ

現に私はこの事件の罪をあなた達に被せて逃げるつもりでいる…事態はもっと悪化するわ


――短い付き合いだったけど…二度とあなた達と会うことはないわ。みんなにもよろしく伝えてね。こんな私に今まで良くしてくれてありがとう


――さようなら










チョッパーが伝えたのは、先程会ったというロビンの言葉だった

一言一句漏らさず、ロビンの言葉を全部――


「本当に言ったのか!?ロビンがそんな事!!」


ルフィの言葉に、チョッパーが小さく頷くとその場に沈黙がおりる

誰も口を開かない、そんな重たい静寂を破ったのは刀を突き出したゾロだった


「全員…覚悟はあったハズだ…仮にも"敵"として現れたロビンを船に乗せた。それが急に恐くなったって逃げ出したんじゃ締まらねェ」


真剣な表情で、ゾロは現実を突き付ける


「落とし前、つける時が来たんじゃねェのか?あの女は"敵"か、"仲間"か……」


その言葉に、皆真剣な表情を浮かべた


『……』


アリスは一人、じわじわと忍び寄る"嫌な予感"に小さく拳を握りしめた

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