紅の魔女 | ナノ




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「火ィ吹いた!!」


その姿に能力者…悪魔の実を食べた人間だとナミとルフィは騒ぎ立てるが……その意見にはあまり同意できない

何となくだが…能力者だとは思えないのだ

そしてその疑惑は、彼自ら水の中に飛び込んだ姿を見て確信に変わる


「水に突っ込んだぞ!悪魔の実食ってたら溺れて終わりだ!」


「きっと滑って落ちたのよ!火吹く能力者よ、アイツ」


『2人とも、違うわ…!早く逃げ、』


呑気に喋っている2人にその確信を告げようとするも、それよりも先に下から…つまり水の中からの衝撃を受けてしまった

ヤガラを壊され、空気中に投げ出される3人


「泳げんのかっ!!」


「いや―――っ!」


『ちょ、っ……』


下は水……つまり絶対に落ちてはいけない

コンマ1秒でその結論に至り、反射的に"風"を集めてしまう

重力に従い、アリスの体も水面に近づいていくが……空中で一回転して、彼女は水面に足をつけた

隣にいたナミは水中に沈んでいったというのに、アリスは何事もなかったかのように"水の上に立っていた"


『はぁ……』


反撃しようとしたルフィを吹き飛ばしたのは、改造を施されたフランキーの右手だ

周囲にまだ残っている人間の多くは2人に視線を奪われているが、中にはアリスに気づく人だっている

目を疑うように水に一切触れることなく立っているその姿を凝視しているのだって1人や2人の話ではない

しかしそれらに構うことなく、アリスは一回"水面"を強く蹴り……ルフィたちのいる地面へと足をつけた


「アリス!?」


自分と同じように吹き飛ばされたはずなのに一切水に濡れた様子のないアリスの姿を見て驚きの声をあげるナミ

まさか水面に立っていたとは想像だにしてないだろう

ビシバシと突き刺さる視線に笑みだけ返すと、視線をフランキーへと移す

人間の体ではあり得ないものを右腕に仕込んでいたフランキー


『……あなた、もしかして……』


「ほォ…そこの姉ちゃんは気づいたか?だがお前らのために教えてやる…」


思いっきり腹を殴られたルフィは苦しげに息を吐く


「俺は、"改造人間"だ!!」


短パンをはいた男は、自分の右手を元に戻しながら不敵に宣言した

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