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血を吐くまで大声を出し、批判するウソップにルフィの表情も変わってくる
「…じゃあお前に判断できんのかよ!この船には船大工がいねェから!だからあいつらに見て貰ったんじゃねェか!!」
取り返しのつかない結末へと加速していく
傷だらけの体で、今まで通り船を修理しようとするウソップの姿に、ルフィは声を荒げる
「お前は船大工じゃねェだろう!!ウソップ!!!」
もう誰の言葉も2人の耳には入らない
「おうそうだ、それがどうした!だがな、職人の立場をいい事に所詮は他人の船をあっさりと見限るような、無責任な船大工なんか俺は信じねェ!自分達の船は自分達で守れって教訓だな、コリャ!!」
言葉が口から流れるように飛び出していく
「絶対に俺は見捨てねェぞ、この船を!!バカかお前ら!大方船大工達のもっともらしい正論に担がれてきたんだろ!!俺の知っているお前ならそんな奴らの商売口上より、このGM号の強さをまず信じたハズだ!そんな歯切れのいい年寄りじみた答えで…!船長風吹かせて何が"決断"だ!!!見損なったぞ、ルフィ!!!」
「!!」
もう、止まらない
「これは俺が決めた事だ!!今更お前が何言ったって意見は変えねェ!!船は乗り換える!メリー号とはここで別れるんだ!!」
「フザけんな!そんな事は許さねェ!!」
もう……止められない
「俺は傷ついた"仲間"を置き去りに、この先の海へなんて進めねェ!!」
「バカ言え!仲間でも人間と船じゃ話が違う!!」
「同じだ!!メリーにだって生きたいって底力はある!!お前のことだ、もう次の船に気持ち移してわくわくしてんじゃねェのかよ!!上っ面だけメリーを想ったフリしてよォ!!」
――そして、それは破裂する
「!!!いい加減にしろお前ェ!!お前だけが辛いなんて思うなよ!!全員気持ちは同じなんだ!!」
「だったら乗り換えるなんて答えが出るハズがねェ!!」
「………!!じゃあいいさ!!そんなに俺のやり方が気に入らねェなら、今すぐこの船から―――」
"その言葉"を口にしそうになったルフィを止めたのは、サンジの強烈な蹴りだった
「バカ野郎がァ!!!」
手加減なく蹴ったようで、ルフィの体が勢いよく吹き飛ばされる
大きな物音が響き、仮初の静寂が空間を支配した
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