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「……何だやっぱり修理代…足りなくなったって事か!?俺があの2億奪られちまったから…金が足りなくなったんだろ!!」
「違うよ、そうじゃねェ!!」
「じゃ何だよ!はっきり言え!!俺に気ィ使ってんのか!!」
「使わねェよ!!あの金が奪られた事は関係ねェんだ!!」
「だったら!!何で乗り換えるなんて下らねェ事言うんだ!!」
ウソップとルフィの口調が段々荒々しくなっていく
ゾロやナミらが落ち着くよう言っても2人の勢いは止まらない
そして、ルフィは"事実"を口にする
「メリー号は、もう直せねェんだよ!!!」
一瞬の静寂
今自分達がいる船が沈むと言われ、ウソップは動揺する
「…………何言ってんだお前…ルフィ」
「本当なんだ!そう言われたんだ!!造船所で…もう次の島にも行き着けねェって!!」
「ハァ…そうかい…行き着けねェって……今日会ったばかりの他人に説得されて帰ってきたのか」
ギリ、と唇を噛みしめる
「一流と言われる船大工達がもうダメだと言っただけで!!今までずっと一緒に海を旅して来た、どんな波も!戦いも!一緒に切り抜けてきた大事な仲間を!!お前はこんな所で…見殺しにする気かァ!!!」
ここまで船を想ってくれる船員なんてそう滅多に見られるものではない
どうやら一際深い思い入れがあるようだが……それはルフィたちも同じだろう
この船の寿命はもう尽きていた……今日まで航海できたのは、一重に"船"のお陰なのだ
その"声"がここまで鮮明に私には届くのに……
『………哀しいわね』
誰に言うともなく、小さくアリスは呟いた
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