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「いや〜やっぱアリスは強ェな!!」
船の上へと戻ってきた2人に最初にかけられたのは、嬉しそうなルフィの笑顔と言葉だった
『ふふ。まだルフィたち若者に負けるつもりはないわよ』
「若者…?」
気になる単語が聞こえてきたとばかりにサンジが質問してくる
ナミには説明したが他の人(ルフィを含め)にはまだだったと気づき、仕方がないともう一度説明した
"ワカワカの実"を口にした能力者であること、20歳の頃から一切外見年齢が変わってないこと、今は30歳だということ……
「へぇ〜アリスも悪魔の実を食べてたのか!」
『ちょうどルフィに会う前にね…間違えて食べちゃったのよ』
あの時はこの世の終わりかと思ったものだ
カナヅチになってしまうのはまだ何とか我慢できたが、何よりも海に嫌われてしまったことがイタい
シャンクスには馬鹿だなぁとバカにしきった顔で慰められるし、最悪だった
「……その刀…」
そんな中、ゾロの視線は真っ直ぐあの刀の入れられた鞘に向けられている
先程の鍔迫り合いで気づいたが、あの刀はもしかして―――…
『あぁ、この子?この子は"紅(くれない)"。切れ味抜群でいい子なの』
「やはり"紅"か…あの最上大業物の"紅"……あの"鷹の目"の持つ"夜"と同格の刀……」
『ミホークね。彼と一回勝負したのでしょう?彼から聞いてたわよ』
刃が薄く赤づいているこの刀は、最上大業物と呼ばれる12工のうちの一振りで、"紅"という銘をうたれた刀だ
切れ味は良く、使い勝手も良く、ずっと長年使っていても刃こぼれ一つない従順ないい子なのが自慢だったりする
『そういうゾロのその子たち……"和道一文字"、"雪走"、それに……"鬼徹"……三代目鬼徹かしら?』
どれも揃いも揃ってかなりの名刀だ
『にしても……けっこうお気に入りだったのに、これ』
手に持ってるのは先程の手合わせで刀傷を付けてしまい、使い物にならなくなってしまったロープだ
ため息をついて捨てる決心を固めると、ナミが慌ててアリスの手をひく
『な、何?』
「何、じゃないわよ!あなた何なのよこのすごい重傷っぷりは!!」
鬼のような剣幕のナミを前に、文句の言葉は自然としぼんでいったのは当然のことだろう…
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