紅の魔女 | ナノ




27



ガキィィン!


ゾロの刀とぶつかり鋭い音を響かせたのは、アリスの持つ1本の刀だ


「そいつは……」


『あら、それ…』


2人はお互いに相手の持つ刀に驚く

だがそれは一瞬のことで、すぐにお互い距離を取るように飛びずさる

ロープという動きを制限されるものを着ているというのに、アリスの動きはそれを感じさせない

風のように、というのだろうか……2人の戦いを船の上から見ていたナミは感嘆のため息をついた


「すげぇなアリスちゃん…あのクソマリモと同等に渡りあってやがる」


普段は事あるごとに対立しているサンジだが、その実力はそれなりに認めているため、そんなゾロと刀を交えている彼女の姿に驚きを隠せない

下で繰り広げられている戦いは激しさを増しているが、2人の顔には笑みが浮かんでいた


『……強いわね…!』


楽しそうに笑いながら、ゾロの刀を受け止めるアリス

6千万もの賞金がつくのもこの太刀筋なら納得がいく

"あの人"が目にかけるのも何となく納得いくというものだ

あと数年もすれば彼の名前はもっと有名になっているに違いない


『だけど―――』


ゾロの目を、彼女の隙を見つけ出す

僅かな隙間……それを逃さないと刃を突き出した

その完璧なタイミング…船から勝負を見ていた仲間らも一瞬息をのんだ


「…!」


だが、刃が突きぬけたのはただロープのみで…彼女の姿は見えない

ひらひらとひらめくロープに一瞬意識を持っていかれた、その僅かな間に


『まだ私のほうが上みたいね』


息も乱さず、見慣れた優しげな笑みを浮かべたアリスが自身の刀をゾロの首元に突き付けていた

ロープを脱いだことで彼女の姿がよく見える形となる

動きやすさを重視された、露出の多い服装だが……その露出されている部分には白い包帯が幾重にも巻かれており、中には赤い血が滲んでいる箇所すらあった

腰には質がいいと一目見ただけでわかるピストルが一丁、さげられている

片目のみの視界、加えて怪我を負っている体だというのに、全くゾロを寄せ付けなかったその強さ


「…はっ…さすがは"紅の魔女"、ってとこか?」


ゾロの言葉に、アリスはニッコリと笑ったのを合図に、この手合わせが終わったのだった

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