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「………え?」
言われた言葉を理解できず、空気の抜けた声がもれる
30歳って……確かに目の前の彼女は30歳だと言った。どう贔屓目に見ても25歳にすら見えない彼女が、30歳だと
「え?えぇ!?いや、だってどう見たって20歳ぐらいにしか……」
『確かに、今の私は"20歳"よ。この姿は、確かに20歳の私』
混乱しているナミを見てクスリと笑みがこぼれる
確かに今の自分はどこからどう見ても"20歳"だ。ナミが驚くのも無理はない
『私もね、一応悪魔の実の能力者なのよ』
ルフィたちが帰ってくるまでの時間つぶしにと、アリスはナミに説明をはじめる
『一応分類上は"超人系"に分類されるのかしら?口にしたのは10年前…つまり、正真正銘20歳だった頃ね』
「い、一体何の実を…」
『たぶんナミが想像してるような能力を得たわけじゃないわ。むしろ普通の人が食べてもそれほど効果が得られない…私、"紅の魔女"が食べたから脅威となった……"ワカワカの実"』
「ワカワカの実?」
聞いたことのない名前にナミは首を傾げる
いや、悪魔の実はまだ謎に包まれた部分も多いから知らない名前の実が出てきても何もおかしくないだろう
『口にした瞬間から一切の歳をとらなくなる、"不老"の実。不死ではないけどね。だから私は20歳の姿から何も変わってないのよ』
「何その羨ましすぎる悪魔の実は!!」
確かに女性からすれば羨ましいと感じる能力だろう
悪魔の実を口にするタイミングにもよるが、若い時に口にすればその姿が永遠に続くのだ。老いを気にすることもなく生きていける
『ふふ…確かにそうかもしれないわね。だけど、世界政府にとっては"私"がこの不老の実を口にしたことは他でもない脅威でしかなかった…』
「だからあんな高額な賞金が……でも何でそんなにも政府はアリスを危険視するの?」
ただの不老の能力を得ただけならあれだけの高額な賞金額がつけられた理由がつかない
それに異例とも言える"ALIVE ONLY"…生け捕りのみの賞金首……
『………まぁ、30年生きていれば色々あるのよ』
詳しくを語ろうとしないアリスの態度は、これ以上何も聞くなと明確に語っていた
"事実"を知れば、それは他でもないナミの命が危なくなる。それだけは避けなければならない
追われるのは、この自分一人で十分なのだから――
『―――あら…皆戻ってきたみたいね』
上手く話をすり替えられ、追及することができなくなりナミはため息をついてアリスが指さす方向…つまり仲間たちを見たのだった
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