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『彼…ウソップ、先に行っちゃったわよ。小さなトナカイさん』
固まっているチョッパーの頭を撫で、ゆっくりと立ち上がる
表に出ればウソップの姿は見えず、代わりに小奇麗な格好をした金髪の男と緑髪の剣士がいた
トナカイと合わせて彼らはナミが呼んだ増援だろう
緑髪の男の警戒心たっぷりの視線を受け、ゆっくりとかぶっていたフードをとる
『あなたたち、ナミの仲間でしょう?早く行かないと…』
地面に落ちる血痕を指させば途端顔色を変える3人
「見て、血だ…」
「あんにゃろ、勝手に動きやがったな!?」
「……あいつ…!!」
点々と繋がっている血の痕を目印に追いかけようとした時……上空から、聞きなれた声が聞こえてきた
「―――…ぁぁあああああ!!」
上空から勢いよく落ちてきてまず壁にぶつかり、その勢いのまま地面に落ち、コロコロと転がって…最後はポチャンと水の中に落ちていったのは、確かにルフィだった
悪魔の実の能力者であるルフィを助けるため、すぐに金髪の男が水の中に入って助けだした
「何やってんだてめェ!!どこから降ってきた!!」
「ゲホ、ゲホゲホッ造船所の船大工のマネして飛び回ってウソップを探していたら……って何でアリスがここにいるんだ?」
『ナミに頼まれて、ね』
目があい、超簡単に状況を説明すれば何となく納得してくれたようだ
そして今はそれどころじゃないことを思い出し、ルフィは急いで立ち上がる
「あ、そうだお前ら!大変なんだ!ウソップが金と一緒に連れてかれて……!!」
「知ってるよ!!来い!!今そのアジトへ向かうトコだ。ウソップはやられて金を奪られたんだ。もしかしてあいつ…責任感じて一人でフランキー一家にケンカ売ってるかも知らねェ!!」
「え!?」
その言葉を聞き、顔色を変えるルフィ
緑頭の剣士と金髪の青年と一緒にウソップが向かった方向へと駆けだしていく
「……なァ、怪我…」
てっきり一緒にいったとばかり思っていたらあのトナカイくんがまだ残っていたようで、心配そうにこちらを見上げていた
「そのロープの下、すごい怪我をしてるんじゃ…」
『……トナカイくん、船医さんなんだね。私なら大丈夫だから、今はウソップの方を追ってあげて?』
「でも……」
『んー…じゃあ私、ルフィたちの船に一足先に戻ってる。ナミもあの場所にいるんでしょう?』
「ナミを知ってるのか!?」
『えぇ。だから、トナカイくんは早くルフィたちの所に行ってあげて』
優しく微笑んであげると、やっと安心したのかトナカイくんはかけ足で先に行った彼らの後を追いかけていく
喋って二足歩行で歩くところを見ると、彼も何らかの悪魔の実の能力者なのは間違いないだろう
隠していたのに、この怪我に気づくなんて……相当腕のいい医者だ
彼ら4人の姿が見えなくなった後、約束だからとアリスはナミがいるであろう彼らの船のある場所へと向かっていく
場所は前もってナミに聞いているから問題ない
もう一度フードを深くかぶり、ゆっくりとその場から立ち去った
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