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「バカ、何騒いでんだ……ぶっ!!オイ女っ!てめェそういう座り方をしたら……!!」
パウリーの言葉なんて耳に入らない
3人の目線の先には……中身がカラッポな、2つのケースがあった
「2億ベリー、ないっ!!」
「よく見たらこのケース私達のじゃないわ!!」
『いつすり替えられたのかしら……』
呆然自失としていて魂すら抜けている2人よりはダメージが低いアリスはこてんと首を傾げる
政府の役人の姿が完全に見えないことを確認した後かぶっていたフードを脱ぎながら考える
2つのケースの番をしていたのは……確か、ウソップだったよね?
で、そのウソップはこのカラ、というか偽物のケースを置いて姿を消している……このことから考えられるのは二択
一つは彼が金を持ち逃げした――だが、まぁこれはまずないだろう。そして残る一つ――彼ごと奪われた、だ
「騒がしいな…それよりカク、お前さっきフランキー一家と一緒にいなかったか?」
「ん?何言うとる。ワシァ今日はフランキー一家など見かけてもおらんぞ」
「………おかしいな。確かにおめェの"長ェ鼻"を確認したんだが」
「ちょっと待ってその会話!!!」
長い鼻というワードに反応したのは死んだように沈んでいたナミが復活した
フランキー一家と一緒にいたという"長い鼻"の人物がウソップだと判断し、その時の状況を詳しくルルに問いかける
「一緒にいたというか…抱えられて連れてかれてたというか」
「誘拐じゃないっ!!」
ルフィはフランキー一家のアジトの場所も聞かずに飛び出してしまい、ナミの制止の言葉がむなしく響く
「もう…!ねェ、フランキー一家ってアジトはどこ!?」
「アジトというか…解体の作業場は、お前らが船停めてるっていう"岩場の岬"からずっと北東へ行った海岸にある"フランキーハウス"だ」
パウリーからその場所を聞き出した後、ナミは勢いよく走り出した
『……』
その姿を数秒見た後、女の子一人で荒事に突っ込んでいくのは良くないと判断し、ナミの後を追うように走り出す
『あ、皆様色々ありがとうございました』
色々教えてくれた職長の彼らに一礼するのはもちろん忘れない
親切を受けたら礼儀を欠かすな―――母からの大切な教えだ
そのアリスの予想外とも言える態度に皆一瞬固まってしまう
ようやく言葉が出るようになった時には、アリスは既にナミと共に遠くへ走っていった後だった
「……あれが有名っつー"紅髪の魔女"ってんだから怖ェもんだ」
パウリーが呟いた言葉は、煙とともに空気中に霧散していった
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