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≪――逃がすくらいならばニコ・ロビンとウィザー・D・アリスごと吹き飛ばせ!!―――と、大将青キジより託かっている!!全艦砲撃用意!!≫
明らかに嘘だと思われる命令を出したのはスパンダムだ
勝手に青キジの名前を使っているだけだが、何も知らない他の兵士たちはその命令を真に受けて砲撃の準備を開始する
メリーに乗った一行はこの場から逃げようとするも、八方を塞がれている今、向けられている砲口の数も考えると逃げることなんて不可能に思えた
―――だが、撃たれた砲撃はただの一つもメリーに当たることはなかった
勝手に自爆していくかのように味方の船を傷つけていく光景を見て、アリスは感嘆の声をもらす
『なるほど…"正義の門"か…』
大きく開け放たれていたはずの"正義の門"が、徐々に閉じられていた
その結果、門に阻まれた海流が渦潮を生み、舵を取られ……照準が、ズレる
「うっひょー想像以上!」
門の開閉レバーをいじってきたのは、サンジ
「根性だけで逃げ切れる敵じゃねェだろ?」
だが渦潮の影響を受けるのは何も海軍だけではない
限界に近いメリーが渦潮を乗り切れるかは殆ど賭けに近い
だが麦わらの一味には、頼もしい航海士がいる
「私達が乗ったメリー号に、越えられなかった海はないっ!渦の軌道が読めるまで耐えて!!」
≪逃がすな!撃て―――っ!!≫
だが砲撃の幾つかは味方の軍艦に当たることなくメリーに向けて飛んでくる
それをギリギリのところで避けるが……中には直撃コースのものもある
それはゴム人間であるルフィに頑張ってもらい、事なき事をえる
「――見えたわ!勝者の道…!」
そしてついに、ナミが海の流れを掴んだ
最後の力を振り絞りチョッパーが取舵をきる
渦潮の流れに乗った小さなメリー号を、海軍は捉えることができない
「畜生!畜生…!!」
スパンダムは苛立ちを隠そうともせず、叫ぶ
「"エニエス・ロビー"の全戦力をかけて、国家級戦力"バスターコール"をかけて!!あんなちっぽけな海賊団から…!たった2人の、女を!!何故奪えねェ!!!!」
『……馬鹿な男』
呆れたと言わんばかりの呟きと共に、スッと腕をスパンダムのいる方向へとのばす
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