紅の魔女 | ナノ




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『、"紅"…!!』


受け止めたそれは、確かに自身の愛刀である"紅"だった

ウォーターセブンで落として以来の再会に、アリスは顔を輝かせる


『良かった…ありがとう!』


その礼の言葉に手を振ることで答え、一人階段を上がっていくゾロ

それを見て追いかけていくウソップとフランキーを横目に、アリスは刀を腰にさす

ようやく手元に戻ってきた大事な刀に、自然と心も落ち着いていく

動くことができなくなっているチョッパーと非戦闘員であるココロたち、そしてアリスたち女性陣は脱出用にと確保した船の出航準備を進め、男性陣は"ためらいの橋"で船長が戻ってくるのを待っている


「出航はいつでも大丈夫よ!ルフィが来次第すぐに出せる!!」


航海士の言葉にゾロは小さく頷く

だが現状船を出せたとしても、軍艦の数が多すぎてここを切り抜けるのは至難の業だろう

どう突破すべきか――考えてる皆の耳に、スピーカーから放たれた声が響く


<北西正門前より報告――エニエス・ロビーの海兵・役人たちの収容完了。次いで本島より逃走中の巨人を含む海賊約50人を、正門に確認>


淡々とした、事務的な声で報告を続ける


<一斉砲火による完全抹消完了。全員死亡。現状本島での生存は不可能と思われ――エニエス・ロビー本島における、生存者ゼロ>


<こちら2号艦より報告。島の南東"裁判所"及び"司法の塔"、そして橋へ通じる"地下通路"全て破壊完了。残る攻撃対象は"ためらいの橋"を残るのみです>


炎が燃え盛るエニエス・ロビー

つい先程まで人がいた場所とは思えない光景に、ナミが小さく呟く


「……こんなに簡単に…人って死んでいいの?」


「地図の上から…人は見えない。彼らはただ感情もなく世界地図から、小さな島を一つ消すだけよ。それが"バスターコール"!」


『……』


今はルフィが1人でルッチを足止めしているのだろう

CP9で一番強いのはあの男――ルフィが足止めしていなかったらこちらも無事だとはいえなかっただろう


『強く…なったのね、本当に…』


10年前、海に出たいと駄々をこねていたのが嘘みたいだ

さすがは"あの人"の息子、と言ったところだろうか―――

懐かしい人を思い浮かべた時、爆発音と共に橋が壊されてしまった

第一支柱――ルフィとルッチが戦っている場所と、この"ためらいの橋"を繋ぐ橋が、なくなってしまったのだ


<第一支柱、切り離し完了>


冷静な声が、淡々と事実を告げた

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