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「うはははは!」
フランキーの悪役じみた笑い声が響く頃には、船の上は綺麗に片付いていた
「悪ィな海兵諸君!この船はおれ達の脱出に使わせて貰う!」
多少ボロくなってしまったものの、船の上にはアリスたち3人以外はもう誰もいない
後はこの護送船改め脱出船でルフィたちが来るのを待つだけだ
だがそんな彼らの耳が、海から聞こえてくる音を拾った
「?」
海から聞こえてくる音に首を傾げ、フランキーが下を見下ろした時
「死ぬんじゃ〜……」
「何だ?」
「らいよ―――――!!」
「ギャ―――――ッ!!!」
突如、目の前に"何か"が現れ…フランキーは、大きな声で叫んだ
『…!』
現れたのは、見たこともない中年の女性、いや人魚と……ぐったりとした、麦わらの一味たち
何故、と思いながらも慌てて彼らの傍へと駆けよる
『大丈夫?皆…!』
「おいおめェら意識を戻せ―!」
しばらくすれば飲みこんでしまった水を吐き出し、全員の呼吸が戻り安堵のため息をこぼす
「奇跡としか言いようがねェ…何かとんでもねェ…そりゃあもうとんでもねェショックを受けたんだろ…全員仮死状態にあった為にあまり水を飲まずに済んでる」
「んががが、よかったれぇ」
恐らく仮死状態になる程のショックの原因だと思われる人魚の女性は独特な笑い声をあげる
「おまいらね?"海賊王"の小僧が助けに来た仲間…シフトステーションで会ったれぇ憶えてるよ。おや、でもおめぇは初めて見る顔だなァ…」
『そうですよね、初めまして。私はアリスです』
「んががが!そうか、おめぇがあの有名な"魔女"か!小僧も面白いヤツを仲間にしらものよ!」
ココロと名乗ったその女性の言葉に、アリスは小さく笑みをこぼした
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