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"バスターコール"の砲撃が少しずつ始まっていく
試し撃ちだとばかりに"司法の塔"が爆破され、その頂上にいたウソップの安否が心配されたが無事、決死のダイブを行ったお陰で命は助かったようだ
≪フランキー、ロビンちゃん!こっちは無事だ!今すぐそっちへ向かう!≫
ウソップと一緒にいるサンジの言葉に安堵するロビン
「じゃあこの場を何とか…"魔女"は俺が抱えていくとして、おめェは戦力に数えていいのか!?」
まだ意識が戻らないアリスを脇にかかえたフランキーの問いかけに、ロビンは勿論と言葉を返す
砲撃が本格化する前に片をつけたいのは海軍側も同じで、ロビンを再び捕獲しようと向かってくる
「橋の向こうに"護送船"があるな…アレが脱出のカギだと思わねェか?」
「あの船を奪う他に助かる道はなさそうね」
向かってくる敵を倒しながら、少しずつ"ためらいの橋"の最後尾につけられている護送船へと向かっていくロビンとフランキー
骨が折れる音と爆発音が響き渡る
「急げ!!ニコ・ロビンと"魔女"を捕まえて護送船にのせるだけだ!!グズグズするな、軍艦が来るぞ!!」
スパンダムが苛立った声で大声を出すが……もう、色々と手遅れのようだ
"正義の門"から、霧の中から大きな影がいくつも現れる
先程まで威勢よく武器を持っていた海兵たちは、それを見て顔色を変えて我先にと逃げていく
「軍艦の艦隊だ!!バスターコールが始まるぞ――っ!!」
その言葉とほぼ同時に――霧の中から、いくつもの軍艦がその姿を現した
大砲が火をふき、砲弾がエニエス・ロビーの建物を壊していく
―――バスターコールが、始まったのだ
いくつも砲弾が、建物を容赦なく壊していく
ロビンとアリスがいる、この"ためらいの橋"だけは砲撃対象にはなっておらず、軍艦が橋を横切っていく
それを自分がいるからだと勘違いしているスパンダム
「ホラ見ろ!この橋は軍艦も素通りだ!ワハハ!おれ様がいるからさ!そうさ、親父も言ってた!!"無差別の砲撃も俺だけは避けた"と!!」
俺がCP9長官だからだ、と確証のない根拠を示して一人余裕を崩さないスパンダムの後ろでは、多くの海兵がこの場から逃げようと彼に背を向けていた
「……何てイカレた光景だ……」
止まらない砲撃に、フランキーは呆然とその光景を見つめる
「ハァ…ハァ……震えが、止まらない…!!」
座りこみ、震える声でロビンは呟く
それは、まさに悪夢の再現だった
20年前の、オハラと同じように――今、エニエス・ロビーという島が滅ぼされようとしていた
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