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「んぬおォのれェ――!!」
怒り狂うスパンダムの頭に、また弾があたって爆発している
この大混乱のなか、逃げるチャンスだとロビンは一緒に連れてこられてきたアリスを見た
スパンダムに暴力を受けてから、ずっと動かないアリス
ピクリとも身動きをせず、固く瞳を閉じたまま床に転がっている彼女の表情は、とても安らかだとは言えず…何かに耐えるように、苦しげなものだった
「アリス…!」
一人で逃げるなんてできるわけがなく、何とか彼女と一緒にこの場から離れようとアリスの名を呼ぶ
だが反応を示してくれることはなくて……それでも何とか動かそうと四苦八苦している姿を目ざとく見つけた海兵が、大声をあげる
「ニコ・ロビンが逃げようとしています!!」
「逃がすなバカ共!!逃げれなくなるよう、殺さねェ程度に撃ち殺せ!!」
その矛盾した命令に海兵らは戸惑うも、命令されては従わないわけにはいかない
「撃てェ!!」
銃を構えた海兵らを見て、引き金に添えられた指を見て、動く事ができないロビンは一瞬目を閉じたが―――その弾丸は、彼女らに当たることはなかった
ガキィィン
「…、あなた…」
彼女たちの前に出て、降り注いだ弾丸を文字通り受け止めたのはフランキーだった
「…丈夫なのよ、鉄だから」
地雷はねェな、とすごめばその迫力にビビるスパンダム
≪フランキー君、フランキー君。こちらそげキング≫
混沌とした状況下に、ウソップの声がフランキーの持つ電伝虫を通じてこの場に響き渡る
≪その付近に小さな"赤い布の包み"が落ちているハズだ―――鍵が2本入ってる。君のと合わせて鍵は全て揃うハズだ!!≫
「鍵全部―――――!?」
嘘だろ、とでも言いたげなスパンダムの叫び
確かに届けたぞ――そんなウソップの声が、誇らしげに電伝虫から発せられたのだった
(あぁ、もうすぐ――もうすぐで、ジユウに).
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