紅の魔女 | ナノ




124



「いてェッ!!!」


思ってもみなかったその痛みに、スパンダムは大声をあげて抱えていたアリスを乱暴に振り落とした

予想はしていたが当然のように受け身を取ることはできず、地面に叩きつけられて痛みで顔が歪む

地面に蹲るアリスの体に、スパンダムの足がのせられた


『…っ』


「てめェ、何してくれんだオイ!!」


今の今まで大人しくしていた"魔女"からの思わぬ反撃に、完全に頭に血が登ってしまったらしく…踏みつける足に体重がのせられる


「忌々しい"魔女"め…!!罪人の血を受け継ぐ"大罪人"の分際で何俺様に歯向かってんだ!!大人しく従っていればいいんだよ!!!」


『く…っ、』


踏みつけられたかと思えば次の瞬間には蹴られ、動くことのできないアリスはただ、降り注ぐ暴力に耐えるしかない

鋭い痛みに悲鳴をあげる体だったが、意地でも声をもらすかと唇を強くかみしめる

ロビンが体をはって耐えているのだ…これぐらいのことで根を上げるわけにはいかない


『お…まえ、…かに…ま、けない…!!』


お前なんかに、負けない

ニヤリと、血を流しながらも笑みを浮かべて今自分を痛めつけている男を見上げた

かみしめすぎて唇から血が流れようと、額から流れる血によって視界が赤く染まろうと―――絶対に、この男に屈しない


「…!!てめェら…!!」


石橋にかじりついて抵抗するニコ・ロビンと、どれだけ痛めつけても絶対に屈することのないウィザー・D・アリス

絶対的な優位に立っているはずの自分に、決して"絶望"を見せない罪人たち

スパンダムの、弱者をいたぶることしかできない拳はそんな2人を容赦なく襲った

殴って蹴って、何の抵抗もできないアリスたちを平伏させる


「ワハハハハハ…!!間抜けなツラだ…!無駄な抵抗などするからだ!ブァーカ!!」


ワハハ、と笑うスパンダムはどこからともなくロープを2本取り出し、それを2人にくくりつける

顔、体、いたるところから血を流して倒れるアリスとロビンに、それを拒む力はない


「行くぞ、さァ!!美しく輝く未来へ!!!」


ずるずると2人を引きづりながら、スパンダムは一歩、また一歩と確実に正義の門へと歩いていく

"ためらいの橋"最後尾では、着々とアリスたちを連行する準備が進められ……その準備はほぼ完了されていた

.

[ 125/145 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -