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「ハァ、ハァ、ハァ…出たぞ…"ためらいの橋"の上に…!!」
久しぶりに感じた外の風
「"正義の門"は既に開き、俺を迎える態勢にある!!永かった…アレをくぐれば俺ァ政府の…いや、世界の英雄になれるんだァ!!」
行くぞ、とロビンの髪をつかみ一歩、また一歩と"地獄"へと歩いていく
"ためらいの橋"は全て開通し、目の前には1本の道しかない
『……っ、』
体が、本当に動かない
せき止められたものが、限界まできている
ぐるぐると渦巻いて……出口を求めて駆け廻っている
「オイ、あれを見ろ!」
無理やり歩かされたロビンの視界に、小さな門が映る
「あの小さな門こそが実質の入口だ…!アレを通過する一歩こそが、お前らにとって天国と地獄の境界線!そして俺が歴史に名をキザむ瞬間なのだ!!」
その門を見て、そのスパンダムの言葉を聞いて、ロビンは来た道を辿るように走りだそうとするが、それはスパンダムによって引きとめられる
髪を握られ、その痛みに顔を歪めるも……自分からその髪を引きぬくようにしてその拘束から逃れ、今自分が出せる最高速度で走り出した
「待ちやがれェっ!!」
だがそれは、難なくスパンダムに頭を押さえつけられるようにして倒されて失敗に終わる
だけど、まだロビンは諦めない
石橋に噛みつき、血を流しながら……この場から離れないという意志を見せた
「コイツ…!!石橋に食らいついてやがる!!何て往生際の悪ィ女だ!!忌々しい!!」
――往生際が悪くて何が悪い?
死にたくないと思うことは、人間として何もおかしくないことだ
「何てみっともねェ生への執着!!哀れで!卑しい!!罪人の癖に!死ぬことでしか人を幸せにできねェ癖に!!最期の最期まで何だ、このみすぼらしい姿!!」
みんなが、自分達を助けるために傷を負いながらも戦ってくれている
みんなが―――信じて、戦ってくれている
「何度言わせる!!もうお前に希望などねェんだよ!!」
だから……私達も、負けない
ここから動かない
少しでも時間を稼いで……みんなを、待つ
『―――っ』
アリスは今自分が出せる力のすべてを使って、思いっきりスパンダムの体に噛みついた
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