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――――…!!「…!」
大人しく歩いていたロビンが、急に立ち止まって後ろを振り向いた
「おい急げ…何を立ち止まってるんだ、ニコ・ロビン!!」
スパンダムは何やってんだとばかりにロビンに言うが、それでも彼女が歩き出すことはない
「オイ、この"生きてるだけで犯罪女"ァ!!止まるなっ!ルッチ、引っ張って来い!髪の毛引っぱったれ!!」
それでもロビンは後ろを見たまま動かない
確かに彼女の耳に、声が聞こえてきたからだ
動こうとしないロビンの腕をとったのはルッチだ
「命令だ…進め、ニコ・ロビン」
また歩き出したロビンを見て、スパンダムは高笑いする
「ワハハハ!バカめ、あんな弱そうな海賊共に本気で希望をかけてんのか?さっきの爆音もやっぱり気のせいさ!ここへ来れるわけがねェ!"正義の門"を通過したが最後…もう二度とお前が"希望"なんて気持ちを抱く事はなくなる」
人一倍耳のいいアリスは、確かに音を聞いた
誰かが……いや、彼がこちらに向かって走ってくる音を
『……る…ふぃ…』
「……」
耳元で微かに聞こえてきた、その言葉にルッチが僅かに表情を変えた、その時
「ロビ――――――ン!!!」今度は、確かにこの場にいる全員にその声が聞こえた
途端スパンダムは先程まで浮かべていた自分の優位を疑わない表情を一変させる
「んな…何だ今、声がしたぞ!!おい、何だ今の声はァ!!」
ロビンはホッとした表情を浮かべ、追いかけてきてくれた仲間の顔を思い出す
「長官はニコ・ロビンと"魔女"を連れて、どうぞ先をお急ぎに…」
半分意識のないアリスを長官に渡し、ためらいの橋の支柱内部の部屋に留まったルッチの背中が――閉ざされた扉のせいで見えなくなる
無理やり腕をひかれ、階段を登らされる
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