紅の魔女 | ナノ




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「"どうもバカがご迷惑おかけしましたね"」


「……!!また喋った…!!」


ハトが喋るかわりにルッチという名前らしい男は一言も喋らない

……まぁ上手い腹話術だ、とでも言っておこうか


「よォ、お前が持ち主か。拾ってやったぜ」


持ち去ろうとしたのを完全に水に流したらしいロープの男……パウリーは恩着せがましく大金の入ったトランクをルフィに渡す


「あぁ!ありがとう!」


「礼なら一割よこせ」


……あくまでガメつい発言しかしないパウリーは、いつの間にかトンカチを持っていたルッチによって思いっきり頭を叩かれている

それにキレたパウリーによって喧嘩にしては限度がこえている戦いを始めたのだ

2人の身体能力を観察すれば、やはり一般人よりも格段も上なことが分かる

ロープを自在に操って相手を地面に叩きつけるパウリーも、その衝撃を腕一本で受け止めてしまうルッチも


『……』


だが……パウリーはもとより、ルッチの動きはどことなくだが…違和感を感じる

気のせいと言われればその程度なのだが、どこか……何かが、パウリーとは違う

片目しかない視界でジッとその些細な違和感を見極めようと集中しようとするが、それ以上2人が戦うことはなかった

アイスバーグに制止され、2人は取りあえず戦うことは止めた


「"ポッポー……まァ、お騒がせして申し訳ない"」


戦いの最中はちゃっかりルッチの肩から移動していたハトが再び戻ってくる


「"俺はルブ・ル……ハトのハットリ。こいつはルブ・ルッチ。ここで働いている。よろしくな、ポッポー"」


だがこの致命的なミスによって、この一連の動作が腹話術であることがバレてしまう


『ってゆーか、腹話術なの明らかじゃん…』


どこか天然さを漂わせる"麦わらの一味"に一抹の不安を覚える

感心するところじゃないでしょ、ルフィにウソップ…

これが高額な賞金首の大型ルーキーだとは俄かには信じられないだろう

昔と同じ…身長だけが大きくなった印象が強いが、偉大なる航路は生半可な人間では生き残れない

きっと賞金額に似合う強さと成長を遂げて、それでまだこの陽気さを失わないのだ

そういう所は、本当に彼に…シャンクスに似ている

クスリ、と小さな笑みがこぼれた

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