紅の魔女 | ナノ




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「フン…!取るに足らん、あんな海賊…!こっちにゃ暗殺集団CP9がいるんだ!!兵器復活をもくろんだ学者の島の生き残り"ニコ・ロビン"と、その兵器の設計図を受け継いだ男"カティ・フラム"、そして兵器そのものである"ウィザー・D・アリス"!!この大権力を握るチャンスをみすみす逃がしてたまるか!!」


高笑いをするスパンダムの前に、立ちふさがったのは―――なんと、フランキーだった

彼はおもむろに、いつのまにか手に持っていたボロ紙の束を目の前に突き出した

最初は何かは分からなかったが…こういうことには異様に鋭いスパンダムはすぐにその正体に気がついた


「そ…それはお前、まさか…!古代兵器プルトンの設計図!?」


「…本物だ。信じるか?」


今この場に出されたのであれば、それは間違いなく本物に違いない

フランキーはこの設計図をずっと体内に隠し続けてきたらしい


「ほ…本物か!?本物なのか!?よこせ!!そいつをよこせ!俺の念願の設計図!!」


「ニコ・ロビン」


興奮するスパンダムを余所に、フランキーは静かに己の想いを口にする


「お前が世間の噂通り兵器を悪用しようとする"悪魔"じゃねェと分かった。何もウォーターセブンの船大工が代々受け継いできたものは、"兵器の造り方"なんかじゃねェんだ!!」


それは"抵抗勢力"として、代々船大工から船大工へと受け継がれたもの


「なァスパンダ…トムさんやアイスバーグが命懸けで守ってきたものは、もし古代兵器がお前みてェなバカの手に渡り、暴れ出した時…もう一つ兵器を生み出し、その独走を阻止してくれという"設計者の願い"だ!」


ニコ・ロビンは確かに危険だが――その身を守ってくれる"仲間"がいる


「――だから、俺ァ"賭け"をする。俺が今この状況で"設計者"の想いをくんでやれる方法があるとすりゃあ一つだ」


「ぐだぐだ言ってねェで早く渡せ!!それは俺のもんだ!!」


耐えきれなかったようにスパンダムはフランキーに手を伸ばすが……設計図に触れることは叶わなかった

何故なら―――その設計図は、フランキーの口から出た炎によって、跡形もなく燃やされたから

半狂乱になって燃えクズを手に取るスパンダム、そして5年もの間その設計図を探しだす任務についていたカクらは苦々しい顔でそれを見つめている


『……ッ』


ギリ、と腕を掴まれている手に力が込められ、アリスは小さく声をもらす

表情には出さないが、設計図を燃やされて怒っているのはルッチも同じようだ

それに内心ざまぁみろ、と悪態をつくが表情には全くだすことはない


「"抵抗勢力"を造る為に残された設計図が、お前ら政府に狙われた…!本来こんなもんは人知らずある物で、明るみに出た時点で消さなきゃならねェんだ!」


フランキーの声がよく響き渡る


「だが、これで"兵器"に対抗する力は失くなった!ニコ・ロビンがこのままお前らの手に落ちれば"絶望"だ!そして麦わら達が勝てば!お前らに残されるもんは何一つねェって事だ!!俺はあいつらの勝利に賭けた!!」


その言葉によくやった、と小さく呟いたアリスの声は、運よくルッチには届かなかったようだ

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