115
『……跳ね橋が…』
裁判所と司法の塔を結ぶ唯一の跳ね橋がゆっくりと下ろされていく
麦わらの一味もCP9のメンバーも…跳ね橋が完全に下ろされるのを待っている
「ロビン!アリス!絶対に助ける!!」
まだ付き合いの浅い自分まで当然のように助けようとしてくれる麦わらの一味に、アリスは小さく笑みを浮かべる
10年前はまだ海賊に憧れるただの男の子だったというのに…子供の成長は本当に早い
――仲間の命を背負える、立派な船長になってるんだもの…ね
『…喜ぶのでしょうね、あなたは』
小さく呟かれた言葉は、誰の耳にも届く事はない
じくじくと熱を発し、確実に鋭い痛覚を与えてくる海楼石の手錠のことも、この一瞬だけは忘れることができた
彼らなら必ず、この困難な状況を打破してくれると…何の疑いもなく信じることができる
ゆっくりと下りてくる跳ね橋を、静かに見ていたが……それは突然動きを止めてしまった
『…?』
よく見れば橋の根元部分が煙をあげており、そこに何らかの打撃を受けてしまって橋が止まってしまったのだと理解する
この司法の塔と彼らのいる裁判所を行き来できるのは、この跳ね橋しかない
「スパンダム長官っ!司法の塔から避難を!!」
裁判所からのその言葉に、スパンダムはようやく我にかえったようで荒い呼吸を繰り返しながらも動きだす
「よ…よし!よくやった!!あいつらが渡ってくる前に"正義の門"へ……!」
塀の上から降りると、近くにいたロビンの体を乱暴に引き寄せる
「あう!」
「来い、ニコ・ロビン!!ルッチはウィザー・D・アリスを、カティ・フラムも誰か連行しろ!!」
その言葉にルッチは大人しくアリスの腕を引き寄せる
思いやりの欠片もないその動作に僅かに顔をしかめるも、口を開く事はないアリス
いや、実際のところ抵抗するだけの体力は残されていなかったから、といったほうがいいだろう
海楼石は少しずつ、だけど確実にアリスの体力その他諸々を奪い取っていた
先程までは意識もハッキリとしていたが、今ではそれも若干怪しくなっている
「……」
『……』
ルッチの探るような視線から目を逸らせば、腕を掴んでいる手に力が込められた
.
[ 116/145 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]