紅の魔女 | ナノ




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「あの象徴(バッヂ)を見ろ、海賊共ォ―――!!」


スパンダムの大きな声で、ハッとアリスは我にかえる

それと同時にシャンクスの顔も弾けとび、代わりに憎たらしい笑みを浮かべたスパンダムが視界に入って思わず顔をしかめてしまう

そのスパンダムが指さす上空には、政府の旗があった


「あのマークは四つの海と"偉大なる航路"にある、170国以上の加盟国の"結束"を示すもの…!これが世界だ!!盾突くにはお前らがどれ程ちっぽけな存在だかわかったか!!この女たちがどれ程巨大な組織に追われて来たかわかったかァ!!」


「……ロビンとアリスの敵はよく分かった」


自信を全面に出しているスパンダムとは対照的に、ルフィはいつもと何ら変わった様子はない

そして、隣に立っているウソップに静かに命じた


「そげキング、あの旗撃ち抜け」


「了解!!」


そのやり取りに、麦わらの一味以外の人間は耳を疑う

簡単に言って、簡単に頷いたが―――その意味を、彼らは理解しているのだろうか?

新兵器らしい巨大パチンコから放たれた、火の鳥を模したそれは……寸分たがわず、政府の象徴を貫いた


「……まさか…」


「……!!」


掠れた声でロビンは呆然と呟く。スパンダムにいたっては声すら出ないようだ

アリスもまた、彼ら程ではないが驚いていた

旗への攻撃―――それは、"世界"への宣戦布告と同等の意味を持つ

それを躊躇なく、仲間の"敵"と敵対できる―――それは、並大抵のことではない


「正気か貴様らァ!!全世界を敵に回して生きてられると思うなよォ!!」


「望むところだァ―――――!!!」


旗が燃え尽きる


「ロビン!まだお前の口から聞いてねェ!"生きたい"と言えェ!!!」


ロビンの瞳から、涙が流れ落ちる

まるで今まで我慢してきた分まで流そうとするように、次から次へと涙が流れていく

"生きる"ということを誰も許してくれなかった過去

だけど――もし本当に、少しだけ望みを言っていいのなら……私は、


「生ぎたいっ!!!」


彼らと一緒に、生きていきたい

今まで諦めてきたものを、彼女と一緒に手に入れたい


「私も一緒に、海へ連れてって!!!」


初めてハッキリと自分の気持ちを言葉にしたロビンに、仲間たちは笑うことでその願いを受け入れた

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