紅の魔女 | ナノ




112 過去から今へ





あの日…オハラが滅びた日、私は死ぬ一歩手前の重傷を負った

怪我を負ったのが"偶然"なら、助かったのもまた"偶然"だった

必然という名の"偶然"

"運命"だとか"奇跡"だと呼ばれるものは、全て"偶然"が重なった、ただの結果でしかないのだ










過去から今へ










20年前から現在(イマ)へと時は進む


「―――今ここで"バスターコール"をかければ、このエニエス・ロビーと一緒に、あなた達も消し飛ぶわよ…!!」


もう、あんな悲劇を繰り返させるわけにはいかないのだ

あれは何の方向性もない、ただの"暴力"でしかない

オハラでの出来事をまざまざと思い出してしまい、アリスは唇を強く噛みしめる


『……っ』


あの日、爆発に巻き込まれて海へと投げ飛ばされた

意識がなくなる直前、体に"風"を纏わせた自分に拍手を送ってやりたい

結果そのお陰で溺れることなく海を渡れて――――どこかの島の浜辺で虫の息状態で倒れていた自分を、彼が拾ってくれた

自分と同じ赤い髪を持つ、太陽みたに笑うあの人……シャンクスに


「20年前…私から全てを奪い、大勢の人達の人生を狂わせた…たった一度の攻撃が、"バスターコール"…その攻撃が、やっと出会えた…気を許せる仲間達に向けられた」


ロビンの声だけが、この場に響く


「私があなた達と一緒にいたいと望めば望む程、私の運命があなた達に牙をむく!私には海をどこまで進んでも、振り払えない巨大な敵がいる!!私の敵は…"世界"と、その"闇"だから!!」


世界は、私を…私達を、受け入れない


「青キジの時も!今回の事も…!もう二度もあなた達を巻き込んだ…!!これが永遠に続けばどんなに気のいいあなた達だって…いつか重荷に思う!いつか私を裏切って捨てるに決まってる!!それが一番恐いの……だから助けに来て欲しくもなかった!!」


いつか死ぬのならここで死にたいと叫ぶロビン

ロビンが今口にした感情を、アリスはかつて同じように口にしたことがあった

向けられる信用が重くて、いつかそれを崩してしまうであろう自分が怖くて、だけどずっと一緒にいたくて―――その複雑に絡み合って自分じゃもう処理できなかったそれを、真正面から受け止めてくれた人がいた


『――――…』


しゃんくす、と口がその名を紡いだ

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