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ドォンッ
「"全知の樹"にも直接砲弾が!!」
「紛れもなく"本部"の戦力…!政府は始めからこうするつもりだったんじゃろう!愚かな…」
『……本当に、愚か』
じっと前を見据えるアリスの目は、ここではないどこか遠くを見ている
「長官、あのガキ、考古学者だと……」
「あぁ…!確かに言ったな!ホントかどうか知らねェが、わからねェ時ァ消すのが確実!!顔をよく覚えとけ、島から出さねェ様にな!!」
『―――覚える必要はない』
「あァ!?」
ロビンを背に庇うように、アリスは一歩前へと出た
長官は訝しげに顔が良く見えないその子供を睨みつける
『だって……アンタたちは、この島から出ることはないんだから』
一際風が強く吹き、フードが脱げ、その顔が露わになる
学者たちはそのアリスの行動に目を疑う
今まで大人しく隠れていたというのに…
「ガキィ…てめェ何言ってんだァ!?」
「……長官、あのガキ…"紅の魔女"では?」
「何ィ!?」
部下の言葉に何言ってんだとばかりに少女を見つめ……表情を変える
「おいおいおい…!マジで"魔女"じゃねェか…!1年前"カディア"を滅ぼした"魔女"!!バッタリ姿を消したと思ったら…まだ西の海にいやがったのか!!」
『"カディア"を滅ぼしたのは私じゃない。政府の"バスターコール"……島民を殺したのは、あなたたち政府よ』
「ムハハハハ!"罪人"を匿った上、俺ら政府に従わなかった島の人間なんぞ殺されて当然だろう!!」
ロビンはアリスらが何を話しているのか全く分からないが……少なくとも、アリスと長官らは決して仲がいいわけではないのは確かだ
いつもの笑顔もなく、かといって怯えてもなく……まるで初めて見る人間のようだった
「おい、お前ら!"魔女"を捕まえろ!!」
部下の2人は、その言葉に頷き……少女に向かって、走り出した
「アリスっ!!」
ロビンが危ないとばかりに叫ぶが……それは全くの杞憂に終わることとなる
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