103
やるべきことはやり終わったとばかりに学者たちの拘束を止め、オルビアだけを連れてこの場から立ち去ろうとするスパンダイン
学者たちは先程の砲撃で火がついてしまった図書館を守ろうと一斉に駆けだす
先程撃たれてしまったクローバーは痛みに耐えながら、何とかロビンとアリスをこの場から引き離そうと声をかける
「ロビン、ぐずぐずするな…2人で早くここから…」
「……ロビンちゃん?」
だが、ロビンはそれらの声は聞こえないようで、連れられていくオルビアの背中を見て、涙を浮かべた
「…お母さんですか…!?」
ピクリ、とオルビアの体が揺れる
「私の…お母さんですか!!?」
泣きながら、それを問いかけるロビンの言葉に、オルビアは涙を流しながらも否定する
「いいえ…・…ごめんなさいね…人違いだと、思いますよ……」
罪人の娘というレッテルから娘を守るため、断腸の想いで血縁関係を否定するオルビア
だが、ロビンの涙ながらの叫びに耐えきれずにその場に崩れ落ちる
「私!!ロビンです!!大きくなったけど…私を覚えてませんか!?ずっと帰りを待ってました!!本当に…お母さんじゃないですか?いつか…私、手を繋いでもらって…一緒に歩いて欲しいから…私!!一生懸命勉強して、考古学者になれたの!"歴史の本文"も読めるよっ!?」
その言葉に、長官とクローバー博士は顔色を変える
「あのチビがァ!?」
「まさか…よさんか、ロビン!!」
『ロビン……』
涙ながらの訴え
「だから、一緒にいさせて、お母さん!!もう…一人にしないでぐだざい!!!」
その姿は、かつての自分の姿と酷似するものがあった
『―――…お母さん…』
――行きなさい…!逃げて、これからも生きていくの…!!
――やだ…お母さんっ…私を一人にしないで…っ!!
――…愛してるわ、これからもずっと…
――お母さん!!!『私は……』
ドンドンドンッ
≪"バスターコール"を発動する!一斉砲撃開始――考古学の島"オハラ"、その全てを標的とする!!≫
多くの砲丸が、このオハラを滅ぼすために撃ち込まれた
『―――もう…何も、』
ふわり、と周囲の風向きが変わる
一人の少女に従うように…風は舞う
『失いたく、ない……!』
もう、自分の無力さに泣きたくない
.
[ 104/145 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]