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≪もしもし、長官殿でありますか!?≫
「あぁ、俺だ」
僅かに興奮した様子で告げられたその報告は、学者たちにとっては最終通告でしかなかった
≪発見致しました!!地下に部屋があり、"歴史の本文"と呼ばれる巨大な石が一つと、明らかな古代文字の研究書類が!!≫
その言葉を聞き終え、受話器を乱暴においた長官は声高々に笑う
「ムハハハ…さて、オハラの学者達よ…!!ここに貴様らの、"死罪"が確定した!!実に残念…今日この日、世界一の考古学者達が一同に命を落とすとは……!!」
その言葉にロビンは驚く
古代文字を読んだ程度で、これだけの人達が簡単に殺されてしまうことに違和感しか感じない
兵器を呼び起こし、多くの人を殺すことだなんて誰一人として望んでいないことを知っているから尚更だ
死を覚悟したクローバー博士は、最期に世界のトップである"五老星"との会話を要求し、それは叶えられる
――"空白の100年"に打ち立てた仮設を、報告するために
クローバー博士が今から口にする言葉を聞けば、それだけで"罪"となる
この場から離れるように言われ、アリスとロビンは声が聞こえないぐらい離れた場所から彼らを見守るしかなかった
「アリス、博士たち…大丈夫かな…」
『……ダメよ…逃げなきゃ……ここにいては、誰も…』
「…アリス?」
明らかに様子のおかしいアリス
青白い顔色で、震える声色で呟くこの姿は心の底からの"恐怖"を色濃く映し出している
『"カディア"のように…"オハラ"が……っ』
――消される…
その言葉を覆い隠すように、一発の銃声が聞こえてきた
≪――オハラは、知りすぎた……!!≫
電伝虫から聞こえてくるこの声は、恐らく世界のトップに立つ人達の誰かなのだろう
「博士―――――!!」
泣きながらクローバー博士のもとへと駆け寄っていくロビン
アリスは、その姿より長官が手に持つ電伝虫に目がいっていた
「……さて、では大将センゴクより預かった、この"ゴールデン電伝虫"で、」
『―――…、やめ…っ!!』
一度だけ見たことがあるそれに、アリスが駆けだそうとしたがもう遅い
「"バスターコール"だ!!以後よろしく」
カチリと無情にもスイッチが押され―――"バスターコール"が、発動されてしまった
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