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「これで全員か!?」
「学者はここに集めろー!!」
研究所の外には、抵抗したのか多少の怪我を負っている考古学者たちの姿があった
その姿を見たオハラの島民たちは我先へと政府の避難船があるらしい西の海岸へと走っていく
「…ロビン。避難船なんてモンがあるらしい…もはや政府は何をし出すか分からん…お前たちも2人で早くそこへ!!」
「いやだ……その船に乗っても優しい人いないもん…みんなとここにいる!!」
震えるアリスの手を握りながら、ロビンはここに残ることを望む
「ロビン!!」
「だって…私だって!!みんなと同じ…」
「いいから行くんじゃ!!!」
強い口調で、クローバーが言ったその時…不快な笑い声が響いてきた
「ムーハッハッハッハッハ!!やっとるか諸君〜」
「「ご苦労様です!長官殿!」」
現れたのは、長官と呼ばれた偉そうな男と、黒服2人―――そして、傷だらけの女性
その女性を見て、学者たちは一斉に目を逸らす
「しかしまァこの島の森には…恐ろしい猛獣が出るんだな。殺されかけたぜ、おれァ」
ムハハハ、と笑いながら投げ出されたその女性は、他でもないオルビアだった
「こいつは脱獄囚…この女の一団も先日古代文字解読の罪で消されたのさ…てめェらがこの女と繋がってるってんなら、だいぶ話は早ェんだがね」
長官――スパンダインの言葉にも考古学者は反応を示さない
図らずしもロビンとオルビア…娘と母の再会となったわけだが、残念なことにロビンは目の前に倒れている女性が"母"だと認識するのは不可能だろう
別れたのはロビンが2歳の時だと言っていた……6年という年月は短いようで長い
『……っロビン、』
逃げよう、という意味をこめてロビンの腕を引くが、それとほぼ同時にオハラの象徴とさえもいえる全知の樹に海から砲弾が撃ち込まれた
低い轟音が響き渡り、学者たちの顔色が変わる
「……な…何て事を!!」
「あの図書館を何だと思ってるんだ!!」
「……!!ここまで強行に出るとは…!!」
「何考えてんだ、おい!!やめさせろ!!」
――少しずつ始まった、政府の攻撃……悪夢の、再来
声を荒げる学者達には目もくれず、長官は電伝虫で自身の部下と会話を始めた
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