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――江戸
方舟の中で戦っているであろう仲間の無事を信じ外で大量のアクマと戦っていたティエドール元帥らエクソシスト
白い方舟を浸食するかのように現れた黒い方舟
時間が経てば経つほど白い方舟は崩れていく
「ブックマン、あそこには神田たちがいるんじゃないのか!?」
崩れていく白い方舟にいるであろう仲間たちの安否が途端不明瞭なものとなる
「ノイズが…っ!消えていく!!」
崩れていくにつれて、マリが感じる仲間たちのノイズも少しずつ消えていく
「お願い刻盤(タイムレコード)!あの舟の時間を止めてぇ!!」
ミランダはずっと発動し続けて負荷がかかっている自身のイノセンスに願うが、浸食のスピードが止まることはない
「力が足りないの?お願いよっ!!お願い刻盤…!止まってぇぇええぇっ!!」
ミランダの必死の願いも届かず――"白"が"黒"に塗りつぶされた
「………何も…聴こえなくなりました…」
その言葉に、ミランダは膝から崩れ落ちて涙を流す
「みんな…っ私の力がもっと強ければ…私が…っもっとちゃんと…!!」
――涙を流すのは、彼らだけではなかった
「あっはっはっはっハッv」
黒い方舟内で、楽しげに笑っているのは千年公だ
「消っえタv消えタvぜぇ〜んぶ消えタv」
ポロンポロンとピアノの鍵盤をたたきながら、嬉しそうに笑っている
「嬉しそうだねぇ〜千年公ぉ」
ギィ、と開いた扉からかけられる言葉
見える人影は2つ
「主は"嬉しい"のですか?どうしてあの方舟を消してまで主は"14番目"のことが気になるのですか?」
「なぜそんなことを聞くのでス?v」
「だって主は"嬉しい"というのに"悲しい"ようです」
平坦な女性の言葉通り、千年公の目から涙が流れていた
その涙の意味はきっと、千年公本人にすら分からないであろう、涙
「鼻水でしょウv風邪ぎみですかラv」
「ムッチャ目から出てるよぉ…」
ブヒッと鼻をかんだ千年公の目にはもう涙はない
「そんなワケないじゃありませんカvさぁ行きましょう方舟v」
黒い方舟で、千年公は笑う―――もう全て終わったと確信して
。
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