悲しき詩 | ナノ




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――僕らにしかって……?


目を開けると、白い天井が見えた


「!?」


ソファに仰向けになって倒れていたアレンの上には、まだ意識のない愛結が折り重なるようにして乗っかっていた

無意識に片腕で抱きしめる形となっており、それに気づき慌てて腕をどかすアレン

大怪我をしている彼女の傷口に響かぬよう、慎重にソファに寝かせて自分は立ち上がる

白で統一されたこの部屋は、黒いピアノと椅子が目立つがそれ以外は存在しない、殺風景なものだった


「ここは…?師匠…リナリー……?」


周囲を見渡して2人の名前を呼ぶが、返事は返ってこない

方舟の中…なのだろうか?"外"に通じる出口はないのだから方舟の中だとは思うのだが、今まで見てきた部屋とは少し様子が違うのは肌で感じる

そう、考え込んでいた時――


【ココハ千年公モ知ラナイ…】


――声が、響く


【"14番目"ノ秘密部屋…】


振り返った先に見えたのは、鏡に映る黒い人影

鏡のはずなのにアレンの姿は映っておらず、その代わりに黒い人影が映っている


「お前は…!」


その影に見覚えのあったアレンは驚き言葉を詰まらせる

あの時…リナリーの夢で見たあの影が、何故ここに……

ニヤリと笑っている影は、感情の起伏の少ない声で喋る


【オレノ"鍵"…オレノ…】


「?カギ…?」


影が指差したのは、ポツンと置かれているピアノ―――の上に乗っている、ティム

まるでそこが居場所だと言わんばかりに、違和感なく溶け込んでいる姿に困惑する


「ティムキャンピー…?」


【オレノティムキャンピー。"アレン"、"ティムキャンピー"。フタツガ"奏者ノ資格"】


ゆったりとした動作で次に指差したのは、ソファで眠り続けている愛結


【"愛結"。オレノ"歌"。カノジョガ"詩者(シイシャ)ノ資格"】


どこか、少しだけ温かみのある声で、影は言った




資格の持ち主
(きみはだぁれ?)


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