悲しき詩 | ナノ




149





「伯爵タマァァァ!!」


目から涙を大量に流しながら千年公に飛びついたのは、今まで必死に影を薄く薄くしていたレロだ


「レロvご苦労様でしタv子供たちの遊びに付き合せちゃいましたネェv」


「超怖かったレロ〜!」


真っ逆さまに落ちて行きながら、千年公は呑気に笑う


「ですがおかげでティキポンが覚醒し、紅蓮もイノセンスを手放してくれましたヨv」


両肩に乗せているティキと紅蓮はまだ目覚める気配はない


「ティキポンは無意識にノアを抑える所がありましたからネェv"快楽"のメモリーの子には代々期待しているのでスv紅蓮がいればこちらとしては問題ないですが…"愛"のメモリーとなるのはあの子でもこの子でも、どちらでも問題ないですシvどうするのでしょうネェv」


落下方向に、見覚えのある特徴的な扉が現れ、ドアが開かれた


「早く新しい家に帰ろうレロ伯爵タマ〜!」


「ハイハ〜イv」


――さようなら、エクソシストv


バタリと扉が閉まり、溶けるように消えていった










「立て」


「アレンくん…」


意気消沈しているアレンに構うことなく、クロスは己の用件を伝える


「お前に手伝わせるためにノアから助けてやったんだ」


「……てつだう…?」


現在進行形で崩れて行っている方舟で、これ以上何をさせようというのか?

アレンの言葉に短く一言、任務だと答える


「俺が何のために来たか知ってるだろうが」


このアクマ大国江戸にわざわざクロスが赴いた理由、それは彼に与えられている任務に関係がある

そんな2人の反応に構うことなく、クロスはマリアに預けていた愛結を再び腕に戻し、起こそうと何度か頬を軽く叩いているが相変わらず反応は得られない


「アクマの…"生成工場(プラント)"の破壊…!」


「このなかに生成工場があるんですか!?」


「部屋はまだ残っている。生成工場へ開けろ、ティム」


クロスが命じれば、ティムを中心として空間が歪み……別の場所へと移動していた




[ 318/461 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -