悲しき詩 | ナノ




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――方舟内


「キャハハハハハハハ!!!」


"自分"を取り戻したラビによる、現実世界からの超巨大な火判と夢の世界からの攻撃にロードの体はダメージを受けほぼ炭と化していた

その状態で、最後の力を出し切るように……甲高い声で、おかしくてたまらないとばかりに笑う

その声も唐突に途切れ、小さくあれん、と呟くと…その姿は灰となって崩れ落ちた

もう脅威となる敵はいなくなったのだが…


「ねぇアレンくん。ロード消えたけど…この塔の上にある出口の扉はロードの能力なのよね…?」


リナリーの言葉で、一気に青ざめた


「ラ、ラビッ!伸です伸!!」


「お、おぉう!」


あたふたと一行が行動している少し離れた場所では…


「……、ん…ボ、ス……?」


「クローム!?目が覚めたんだ、大丈夫!?」


ずっと気絶していたクロームを見守っていたツナは驚いて彼女の顔を覗き込む

大丈夫、そう言う彼女は思いっきり吹き飛ばされた割には大きな怪我も見当たらずツナは安堵のため息をついた


「ボス、一体何があったの……?」


途中からの記憶がないクロームの問いかけに、ツナは起こった様々な出来事をぽつぽつと言葉にする


「……愛結ちゃんが……俺たちのよく知ってる愛結ちゃんが、起きたんだけど、紅蓮と一緒に消えて……」


ロードによって正気を失ったラビに攻撃されるが、最後には自分を取り戻してロードを倒したこと……


「……」


ロードの扉が無事か見に行ったラビ、それを見守るチャオジー、リナリーに手を引かれる覚束ない足取りの虚ろな瞳なユミ、胸を刺されて死んだシルフの遺体を静かに横たえたアレン、意識のない状態で柱によりかかっているティキ、追いつくと言ったはずなのにいない神田とクロウリー………そしてまだ戻ってこない愛結と紅蓮


「愛結ちゃん……、」


かつて恋人であった男と戦っている彼女の名を、小さく呟く

――ものすごく、嫌な予感がするのだ

何かとんでもないことが起こるような、そんな不吉な予感を直感的に感じ取るが、その場所へ行けないツナはここから無事を祈ることしかできない

まだ、終わってないのだ

ツナにとっては、愛結がいなければこの戦いの勝利も意味がないのだから


「どうか無事で帰ってきて…」


「おーい!まだあったぞー!引き上げっから全員柄に掴まれ――あっと、そうじゃねーや。アレンとサワダ、動けねェ奴担いで上がれるか!?」


ラビの大きな声に現実に戻されたツナは、その言葉に小さく頷くとクロームと共にアレンたちのもとへと向かう


―――無事、だよね?愛結ちゃん…




消えない不安
(はやくもどってきて)


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