悲しき詩 | ナノ




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「………や、やった……」


―――重たい沈黙を破ったのは、チャオジーだった


「やったッス!!!悪魔を!敵を倒した!ヒャッホォ!!」


嬉しくて堪らないといった様子で拳を握りしめて叫ぶチャオジーだったが…ドスリと鈍い音が背中から聞こえ、息がつまる


「え……」


「チャオジーッ!!」


彼の背中に突き刺さった数本の蝋燭に、リナリーは悲鳴をあげる

その声に、アレンが咄嗟に駆け寄ろうとするが――


「動くな。動いたら全員刺す」


ロードの聞き慣れない冷たい声色に、アレンは反射的に足を止める


「…!」


「神ノ道化のアレンはこんなんじゃ死なないだろーけど…アレン以外はたぶん死んじゃうよ?」


周囲に浮かぶ大量の蝋燭

それらは全て、リナリーやツナらこの場に存在する全ての人間に向けられていた


「僕はね、アレンのこと好きだけど愛結姉や紅蓮たち家族も特別なんだぁ…このキモチはアレンと一緒だね」


意識のないティキの頭を自身の膝にのせ、ゆっくりと髪を撫でるロード


「動かないで。僕ちょっとムカついてるんだよ。仲間の体に穴が開くのを見たい?」


ジリ、と数ミリ足を動かしたアレンはその冷たい声の牽制に足を止めざるをえない


「でもそれだけじゃ足りない。愛結姉たちが戻ってくるまで何もしないであげようかと思ってたけど、やーめた。"ひとり"――…アレンの仲間にお仕置きしちゃうんだから」


赤毛の男の子…"ラビ"っていうんだね

ニヤリと口許を歪めて呼ばれた名前に、アレンは目を見開く


「あの子の精神(ココロ)は今僕の内にあるんだよ?」


ロードの"夢"の中に囚われたままのラビ

――生かすも殺すも、ロードの考え一つで決まってしまうのだ


「そいつの心、めちゃくちゃにしてやる――!」


そしてそれをアレンたちは、どうすることもできないのだった




本気という名の感情論
(傷つけるというのなら、ゆるさない)


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