悲しき詩 | ナノ




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ツナも紅蓮と全く同じように、ハコに閉じ込められて宙に浮かされていた

一体何が……そう周囲を見渡せば、先程まで自分たちが立っていた空間が黒い球体のようなモノに覆われているのに気付き息をのむ


「おいロード!一体どういうつもりだ!!」


紅蓮の怒鳴り声にロードが動じる様子はない


「だってティッキーがキレてさぁ。あのままだったらミンチになってたんだから感謝してよね〜」


周囲には自分たちと同様にハコの中に閉じ込められた人がおり、リナリーやラビなど、ほぼ全員の顔ぶれが並んでいる、が


「、アレン…?」


見当たらないのは、アレンとティキの2人だけ


『ふふ、アレンとティキは、あのなか』


「、愛結…」


ツナが閉じ込められているハコの上に腰かけた愛結は、にこりと笑みを浮かべる

先程殺されかけ、気まぐれで生かされたツナはひくりと顔を引きつらせるも愛結は気にする様子もなく広がる光景に目を向けている


「あー、愛結姉勝手に出てきちゃだめじゃぁん」


『だって簡単に抜けれたんだもん、ロードだって閉じ込める気はなかったんでしょ?』


「まぁね〜今の愛結姉なら暴れたりはしないだろうなぁって」


「……おい、ちょっと待て」


その会話に不機嫌そうな紅蓮の声が混ざる


「なに〜?」


「なんでアイツはよくて俺は閉じ込められてんだよ!!」


「だって紅蓮、暴れるじゃんかぁ」


出せとばかりにハコをドンドン叩く紅蓮の願いが叶えられる確率は低そうだ

そんな会話が繰り広げられている下では、異質な光景が広がっている


「…、どうなってるの、これ…」


ツナには皆目見当もつかないが…分からないからこそ、嫌な予感がする

そんなツナを見下ろし、愛結はクスリと笑う


『ふふ、心配?大事な"仲間"だもんね?』


「…、」


『あら、無視されちゃった。でもまぁいいわ。コレはティキが空気を拒絶してできた空間。空気が一切排除された空間に閉じ込められたアレンって…どうなっちゃうんだろうね?』


「……っ!」


そんな、呼吸ができない真空状態で人が生きられるはずがなかった

いくら身体能力が強化されている寄生型のエクソシストだとしても、彼が人間である以上その危険性は変わらないだろう


「っ出せ!!」


ガンガンとハコを叩くが、状況は何も変わりはしない

――無駄かもしれないが、友達が危険な状態でいるのをただ傍観しているのは、どうしてもできなかった







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