悲しき詩 | ナノ




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トンッ


クロームが三叉槍で地面を軽く小突くと、そこからパックリと地面が割れていく


「ハッ、」


だが紅蓮は全く動じることはなく、逆にクロームに斬りかかっていく

六道輪廻、地獄道で生み出した"幻"では紅蓮を足止めすることはできない


「…っ」


剣先がクロームに届く前に、ツナが2人の間に入って剣を弾く

接近戦はツナが、遠距離・支援はクロームと初めての共闘ながらもそれなりに連携は取れている


ガァンッ


「おっと」


ツナの拳を篝火の刀身で危なげなく受け止める紅蓮

一瞬動きを止めたその隙を見逃さず、クロームが畜生道によって生み出した本物の蛇が紅蓮の腕に巻き付いた


「へぇ、コレはホンモノか」


そう簡単には外れないぐらい強く巻きついてくる蛇を見下ろし、興味深げに呟く


「ボス…!」


「分かってる」


ゴォォっとグローブに一際強い炎を灯し……紅蓮の腹目がけてぶち込んだ、が


「ざぁんねん」


篝火から発生させた炎により蛇を一瞬で燃やし、余裕な表情を崩すことなくツナの攻撃を受け止め――吹き飛ばした


ガシャァァン


「ボス…っ」


「く…っ」


テーブルを巻き込みながらもなんとか、ブレーキをかけて止まる


「……弱ェ」


ぽつりと呟かれた言葉


「弱い…弱すぎんだろ、お前ら。もしかして俺、舐められてた?お前ら程度でどうにかなると思われてたんだったらブチ殺すけど」


篝火で地面を軽く叩く


「愛結を待つ間の暇つぶしにはなるかと思ったけど全然ダメだわ、これじゃあ」


本当に退屈しきっているのだろう、その姿に覇気とかやる気は全く見えない


「―――もうさ、飽きたでいいわ」


飽きた、そう呟く声は平坦なものだった


「アイツが起きるまで待ってやろうかと思ったけど、やめだやめ」


「―――!」


瞬間移動かと思うぐらい早く、一瞬でツナの後ろに移動した紅蓮は、耳元で囁く




「じゃーな、ボンゴレ」







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