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「ラストダンスといこうぜ」
「く…っ」
アレンはティキの力に押し負け、一度距離を取らざるを得なかった
「少年、今…何考えてる?俺と殺しあえて楽しい?カードで俺ら打ち負かした時は楽しんでただろ?ポーカーフェイス気取ってないで教えろよ」
煙草の煙を漂わせながら楽しげに笑うティキとは反対に、アレンは眉を下げる
「…悲しいですよ。あなたは会う度に飄々としていて、人間くさくて…人間らしい。叶うなら、これが誰も死なないポーカーだったらよかったのに」
「……ティーズ」
無表情に、煙を漂わせながら呟かれた言葉
ティキの体の中からティーズが出てきて、それはそのままアレンへと襲いかかるが…
「"道化の帯"!」
それを難なく防ぎ、そのまま攻撃に転じようとした時
「ラビッ!!」
リナリーの悲鳴のような声が聞こえ、反射的にラビらがいるであろう方向へと視線を向けてしまう
だが、ラビの姿を目で捉える前にティキの接近に気付き、何とか受け止める
「うっ…」
「可哀想に眼帯君。ロードの相手してココロが壊れなきゃいいけどなぁ。で・も、今は俺に集中!」
アレンに薙ぎ払われ、そのまま"空気中"に着地するティキ
触れたいモノを選べる快楽のノアであるティキにとって、何もおかしいことではない
「だけどま、眼帯君はまだマシなほうかもな、あそこのボンゴレ少年たちに比べればさ」
「何を、」
「だって俺だって紅蓮とやりたくねーもん。アイツ愛結が絡むとすぐキレるし」
ちらりと、横目でツナたちを見る
ツナとクロームの2人がかりで戦っているというのに、紅蓮の余裕そうな笑みは崩れていない
「眼帯君はココロが壊されるだろうし、あの2人はきっと燃えカスも残んないだろうし、お先真っ暗じゃない?少年」
「――僕は、ツナもクロームもラビも…そして愛結も、信じていますから」
必ず生きて帰ると誓ったのだ
必ず勝つと信じているから…今アレンがするべきことは目の前の敵に集中すること
「……つれないねぇ、少年」
真っ直ぐ自分に向かってくるアレンを見て、ティキは至極楽しそうに口許を歪めた
。
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