悲しき詩 | ナノ




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「―――ロード、そろそろ少年から離れてくんない?」


「えぇ〜!?アイシテルのに〜!!」


ティキの静かな声に、駄々をこねるかのようにアレンの首に手を回すロード


「やめとけやめとけ。ノアとエクソシストの恋なんて実るわけねーだろ」


ロードに…というよりもツナに言うかのように、紅蓮は断言する

違う、愛結はノアではないと否定したいのに、その当人は未だ眠り続けていて事実が分からず何も反論することができない

周囲の雑音は決して少なくないと言うのに身動き一つせず眠っている愛結


「…俺ねぇ、千年公の終焉のシナリオっての?遊び半分で参加してたんだけどサ」


ゆっくりと立ち上がり、誰に言うともなく続ける


「やっぱ"悪"はそーでなくっちゃなぁ!うん、少年のおかげでちょっと自覚でてきた」


――退治?本気でやらねぇといけねぇって分かったわ


「…あ、」


黒い蝶が一匹、ふらりとリナリーの肩にとまろうとしているのを見てツナは小さく声をもらす


――パンッ


「……ティキ・ミック、僕も一つ言っときたいんですが」


蝶を左手で串刺しにして、アレンは言う


「これ以上僕の仲間に手をかけたら――僕はあなたを殺してしまうかもしれない」





戦いの火蓋が落とされた





アレンはティキのもとへとテーブルの上を駆けていく





「アレン!…っ、」


「…ティッキーもねぇ、アレンのこと好きなんだよ。邪魔しなぁいで…?」


ラビはロードと向き合う





「み、みん、…っ!?」


「久しぶり、姉さん」


「シ、シルフ!?なんで、なんでここに!?」


ユミは実の弟に武器を向けられ、





「きゃあっ!」


「うわぁぁぁ!?」


戦えないリナリーとチャオジーはロードによってサイコロ状のハコの中に閉じ込められた





「…紅蓮、」


「……今度は、負けない…」


死ぬ気丸を飲んだツナと、三叉槍を構えるクロームは、紅蓮と相対する


「――さァ、お互い楽しもうぜ、ボンゴレ」


心の底から楽しいとばかりに、紅蓮は笑って"篝火"を構えた




激戦の幕開け

それぞれの戦いが、始まった



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