悲しき詩 | ナノ




84



「………」


重苦しい空気がテーブルを包み込んでいる

目の前には美味しそうな料理が並んでいるのにも関わらず、アレンたちは誰一人としてフォークに触れようとしない

言われるままに座ったリナリーの脳裏には、先程見た光景がこびりついていた


――この塔以外は崩壊し、消滅した


「……」


ロード・キャメロット

ティキ・ミック

紅蓮

眠っている愛結


「……さて、やっとゆっくり話せるようになったな、少年」


そんな顔すんなって、と呆れるティキにアレンは険しい目を向ける


「罠なんて仕掛けてねーよ。イカサマはしないって言ったろ?」


「ふふっ大丈夫だよぉアレン!」


アレンに抱き着いたロードはその耳元で囁く


「出口の扉はぁ、この塔の最上階にちゃぁんと用意してあるから!」


「…ちゃんと外に通じていればいいんですが」


意味ありげなその言葉にロードは笑みを浮かべる


「別に僕たち嘘ついてないもんねぇ紅蓮」


「あぁ?」


今までずっと食事に集中していた紅蓮はロードの言葉にようやく顔をあげる


「…まぁ、嘘は言ってねーよな」


フォークをテーブルに置き、ずっと自分を見ていたツナに視線を合わせた


「愛結のことが気になるか?ボンゴレ」


まだ一度も目を覚ましていない少女の名前を出すと、ツナの視線が少しだけ険を帯びたものとなる


「――愛結ちゃんに、何したんだ…!」


「前にも言っただろ?何もしてねーよ。愛結を偽りの神から解放してやるために返してもらっただけだ」


「偽りの神って……紅蓮もアイツもエクソシストだろ!?」


納得できないとばかりにラビが言えば、冷めきった目で紅蓮は言った


「エクソシストである前にノアなんだよ、俺も愛結も」


―――紅蓮がノアであることは想定していたから、大きな驚きはなかった

だが……愛結も、ノア……?


「……そんなデタラメ、」


「お前らがなんて言おうと事実だから仕方がねーだろ」


「、ちょっと待って下さい!!」


バンッとテーブルに手をつけ、アレンが立ち上る




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