悲しき詩 | ナノ




83



「お断りします。食事は時間があるときにゆっくりしますから」


「―――その時間、あとどれくらいか知りたくない?」


ティキの意味ありげな言葉に、紅蓮は笑みを浮かべながら外を指差した


「自分の目で見た方が早ェだろ?」


まさか――皆が最悪な結果を想像してしまったのと同時に、ロードの声が響く


「外、―――絶景だよぉ…?」















「な……っ!」


「街が…」


見下ろした光景は、確かに"絶景"であった


「ココ以外は全て消滅し、崩壊した…残るは俺たちのいるこの塔のみ」


それはつまり、この方舟内で生きているのは自分たちだけだと言うことで


「うそ……!」


追いつくといった神田も、先に行けと叫んだクロウリーも………もう、いないということで


「そんな…」


すぐには信じることができず、ツナは茫然と街を…否、街があった空間を見下ろす

あの神田が、クロウリーが死んだなんて悪い冗談にすらならない悪夢だった



バァンッ



「!!」


「座りなよ」


扉が勢いよく閉められた音に我にかえれば、ロードが静かな口調で"命令"する


「座れよエクソシスト」


ティキの言葉にも動かず――いや、動けずにいると、紅蓮が馬鹿にしきった笑みを浮かべる


「―――恐ェんか?俺たちが」


それは明らかな挑発だった

だがその分かりやすい挑発に――アレンとツナは、敢えてのった

ドカリと椅子に座り、強い意志のこもった目で3人を見返す


「……」


それにつられて他の人間たちが席についていくのを見て、紅蓮は楽しげに笑った




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