悲しき詩 | ナノ




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『――――!!!』


もし口を塞がれていなかったら、とんでもない叫び声が響いていただろう

左目が、燃えるように熱い


―――左の眼球を、抉り取られた


痛いという感覚はなく、ただただ熱だけが愛結の小さな体を焼いた

つい一瞬前まで当たり前に存在していたモノが唐突に失われたという喪失感

熱さのせいで意識をトばすこともできず、ただただその熱に焼かれるしかできない


アツイアツイアツイアツイ―――!!


「おいサンプルを」


「はい」


研究員たちの声がよく聞こえない

だから、何をされたのか一瞬分からなかった

"何か"を空いた左目に――思いっきり、中に捻じ込まれたのだと分かったのは、その与えられた"痛み"によってだった


『―――!!』


まるで火のついた棒を無理やり捻じ込まれているかのような、想像を絶する痛み





―――そうだ、私の左目は無理やり埋め込まれたモノだった





「いけそうでしょうか?」


「前の9体は全てこの段階で体が吹き飛んでいますし、コレは行けるんじゃ…」


「これ以上実験を繰り返すと貴重なサンプルが痛んでしまうからなぁ」





声なき悲鳴をあげる愛結を見下ろす、いくつもの無感動な瞳





「もう一体のほうはどうだ?」


「接合部分が酷く爛れており拒絶反応がでているかと」


「ふむ…ならあちらは"廃棄"か」





声なき悲鳴をあげる愛結を、いくつもの無感動な目が見つめる

青い右目と、漆黒の左目が、その目を映す

乾いた眼球から自然と涙が溢れてくる


『………、!!』


アツイ





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