悲しき詩 | ナノ




73


その現実感溢れる言葉に一瞬固まった2人は、そっとお互いの顔を見た


「え、なにあの人」


「話の流れ、そこいく?今のでいく??」


「また失敗したんだな」


その分かりやすすぎる誤魔化しに肩をすくめれば、とぼけるのをやめた2人は見事に開き直った


「うっせーな!そうですよ、それが何か!?」


「千年公のトコ怖くて行けないんですけどー!それが何かァ!?」


コケコッコーとタイミングよくニワトリが鳴く


「さっきなんてー、ニワトリしかいなかったんだよ!?ヒッ」


「ちくしょークロスのヤロウ!俺らをコケにしやがって〜!!」


悔しさというか怒りというか…ありありと思い出したのだろう、ブルブルと拳が震えている


ばさり、


「ん?」


そんな騒ぐデビットのポケットから分厚い紙束が落ちたのに気づき、ロードはそれを拾い上げる


「何これぇ…請求書?」


分厚い紙束は全部請求書で……見られて固まったデビットとは反対にジャスデロは素直に説明する


「あァそれクロスがジャスデビにツケてったヤツっス」


「はぁ?」


「バカ、言うな!!」


デビットが慌てて止めるも、もう遅すぎた


「オマエら、逃げられている上に借金までツケられてんの?」


「ッキャハハハハ!!」


可笑しくてたまらないとばかりにロードはお腹を抱えて大爆笑している

クロスという人間、一癖二癖どころの話ではない

命を狙っている敵にツケるという発想が出てくることが素晴らしい


「くっそークロスのヤロウ…!」


何度も何度も逃げられ、挙句の果てに借金まで背負わされているジャスデビの怒りは海より深く山より高い


「アハハ……ってあれ、この名前…」


ロードは笑うのをやめ、請求書に書かれた名前を見つめる


「あァそれクロスの弟子だって。混ざってたんだね、ヒッ」


「ふぅん……」


イイコト思いついたとばかりに、楽しげにジャスデビに話しかける


「このクロスの弟子、今この方舟のなかにいるんだよぉ」





[ 242/461 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -