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「…あらー」
ティキの気の抜けた声が響く
「ロードォ。ティッシュあるゥ?」
派手な登場をしたのは…黒い涙を流しているジャスデビの2人だった
「オマエらの涙って黒いんだ」
「うるせーバカティキ!」
「メイクが落ちたんだよ!ヒッ!」
黒い涙の正体は目の周りに施した濃いアイラインのせいである
ほら、とロードはそんな2人にタオルを投げ渡す
「もう、愛結姉がいるんだからさぁ、もっと静かに入ってきなよ」
「わ、わりィ」
「愛結、起きてないよね?ヒッ」
「まだ起きないから大丈夫だけどぉ」
――時が来るまで目を開けることはない、が"覚醒"はそう遠くはない
ゴシゴシと涙(化粧)を拭いているジャスデビの頭の上には何故か、ニワトリがいる
「あれ?そういえば紅蓮は?」
「クソエクソシストもいねーじゃん」
今気付いたとばかりに周りを見渡すも、狭い室内に2人の姿は見えない
「エクソシストは別の部屋に置いてあるぜー。アイツの役目も終わったし、適当な部屋に適当なこと言って放置プレイ中」
「紅蓮は知らなぁい。どこかで遊んでるんじゃないのぉ?」
あのエクソシストの役目は終わったのだから殺してしまってもいいのだが、この後訪れるであろう"メインディッシュ"に彼がいたほうがより面白くなる
ピエロはピエロらしく、最後まで道化を演じて貰わないと困るのだ
紅蓮の気まぐれさは今に始まったことではないし、放っておいてもそのうち現れるであろう
それよりも、とロードは呟く
「……スキンのお別れ会、やろっか…」
急遽用意されたのは、スキンの大好きだった甘いお菓子をたくさん積んだ皿と数本のろうそく
簡素な"お別れ会"ではあるものの、ロードたちは気にすることはない
「さよなら、スキン…」
神妙な顔でスキンを悼む4人
「グスッ…また泣けてきちゃった…ヒッ」
「なんでだろうな…」
また涙がこぼれ、ジャスデビは少し湿っているタオルでゴシゴシと拭く
そんな2人に、ティキは少し気になったことを聞いてみた
「つーかオマエら千年公にクロス捕獲頼まれてたんじゃね?」
。
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